【実録燃費TEST】ノートe-POWER 実燃費はガソリン車よりどれだけお得か?

【実録燃費TEST】ノートe-POWER 実燃費はガソリン車よりどれだけお得か?

 発売以来予想を上回る売れゆきをみせているノートe-POWER。大きな売りのひとつはモーターパワーを生かした燃費だ。果たしてその“実際の燃費”はどうなのか? ガソリン車との比較テストで、注目の実燃費が明らかに。

文:鈴木直也、永田恵一
写真:池之平昌信、shutterstock.com


異なる3つの区間で燃費を計測

 今回、燃費テストを行ったのは【図】のルート。

1.交通安全環境研究所(調布市内)から関越道練馬ICへ向かう一般道都市部区間

2.練馬ICから鶴ヶ島ICまで関越道を通る高速道路区間

3.関越道鶴ヶ島ICから埼玉県内の熊谷運動公園へ向かう一般道郊外区間

 上記のとおり、ストップ&ゴーの多い都市部の一般道と高速道路区間、さらに比較的流れのよい郊外の高速道路区間と、燃費の特徴が出やすいそれぞれの区間で燃費計測をおこなった。

【図】燃費ルートMAP。国土交通省がディーゼル車の排ガステストを実施している区間と同一ルートで実施

 テスト車両はノートe-POWERとノート1.2ガソリン車(CVT)の2台。両車の燃費の差や特徴、そしてカタログ燃費との差は如何に!?

一般道の渋滞で威力発揮するノートe-POWER

 ノートe-POWERの何がユーザーの心を捉えたのか、今回燃費テストを兼ねてじっくり考えてみたのだが、やっぱり結論は「1ペダルドライビング、すっげぇ楽しい!」という新鮮な驚きがイチバン。

 日産のCMコピー「ひと踏み惚れ」というフレーズは、その魅力の本質をじつに上手く表現してると思った。

 この1ペダルドライビング、単純に加減速にメリハリがあって爽快感があるのも大いに魅力なんだけど、じっくり試してみると下道の渋滞がすっごい楽チンであることに気づく。

 渋滞走行は、つまるところ前のクルマに追従して走る作業。右足ひとつで自由自在に車間距離を調整できるノートe-POWERに対して、ノーマルの1.2Lガソリン車(CVT)だと加速遅れにともなうアクセルの踏み増しや、ブレーキペダルへの右足の載せ替えが頻発。このストレスがバカにならないのだ。

手前のグレーの車がガソリン車、奥のオレンジの車がe-POWER。写真は国道20号線から山手通り入る交差点付近。こうした混雑が燃費にどう影響する?

 しかも、市街地燃費は1.2CVTに比べるとダントツ優秀。調布から山手通り経由で大泉に抜ける市街地渋滞では、【表】のとおり5割以上優っている。

 ふだん近距離ユースが多いユーザーにとって、この走りと燃費は大いに魅力。「ひと踏み惚れ」で契約書にハンコついちゃう気持ちがよくわかる。

ノートe-POWER VS ガソリン車 全行程燃費結果

【表】燃費テスト結果。※達成率はJC08モード燃費に対して各区間で実際に計測した燃費の数値
ノートe-POWERは特に一般道で優れた燃費をマーク。特に一般道の郊外で29.3km/Lの低燃費を記録した

e-POWERの弱点は一定速度で走る高速区間

 ただし、純シリーズハイブリッドというノートe-POWERのメカニズムには、それゆえの弱点もひそんでいる。

 エネルギー変換に効率100%はありえない。ノートe-POWERの場合、エンジン出力を発電機で電気に変換する際、そして電気でモーターを回す際、それぞれに僅かだがロスが生じる。

 加減速のない一定走行では、エンジン出力がダイレクト(厳密にいえばCVTのロスはあるが)にタイヤを回す1.2CVTに対して、エンジン→発電機→モーター→タイヤという経路をたどるノートe-POWERは原理的に不利。

 今回のテストでも高速区間の燃費だけは1.2CVTが逆転。e-POWERを15%ほど上回る燃費データを記録している。

関越道をゆくノート1.2Lガソリン車。高速道路区間ではe-POWERを上回る燃費をマークした

 この欠点をカバーするのが「エンジン直結モード」で、アコード/オデッセイのハイブリッドやアウトランダーPHVでは、基本シリーズハイブリッドながら駆動系にクラッチを追加して直結モードを設定している。

 ノートe-POWERに直結モードを追加するのは、スペース的にもコスト的にも難しそうだが、ここがこのシステムの課題だろう。

 だから、ノートe-POWERの評価は、得意不得意のあるそのシステム特性をどうみるかによって変わってくる。

ハイブリッドと比較してe-POWERをどう見る?

 長距離ドライブの機会が多いユーザーなら、燃費面でハイブリッド車やディーゼル車に目移りするかもしれない。ちなみに、今回と同じコースの高速区間燃費で、プリウスPHVは36.9km/L、CX-5ディーゼルは26.6km/Lと、ノートe-POWERを圧倒している。

 今回のテストでもノートe-POWERの高速燃費が振るわなかったのは予想どおりだったんだけど、それにも増して「右足ひとつでスイスイ走る街中のドライバビリティ気持ちイイじゃん!」というメリットの方が、ずっとずっと強く印象に残ってる。

 ノートe-POWERの予想を超えるの売れゆきをみるかぎり、多くのユーザーもぼくと同じ意見なんじゃないかな?

 やっぱり、コイツは「ひと踏み惚れ」で決めるクルマなんだと思います。

【鈴木直也】

購入時のコストはe-POWERが約36万円高

 はじめにノートe-POWERとノート1.2Lガソリンの購入時の価格差を装備の違い、エコカー減税と翌年の自動車税の減額まで含めて、売れ筋のXグレード同士(e-POWER/195万9120円、1.2Lガソリン/149万5800円、e-POWERは46万円高)で考えてみよう。

 まず装備の違いに関して目立つのはe-POWERのエアコンがオートになることくらいで、ここで1.2Lガソリンとの価格差は1万円くらい縮まるだろうか。

 エコカー減税では、e-POWERは取得税と重量税の免税で約7万9000円、翌年の自動車税の減額で約2万6000円、合計約10万5000円得をする。

 1.2Lガソリンは取得税20%軽減、重量税25%軽減、翌年の自動車税の減額はないので、得するのは約1万3000円だ。

 といったことを総合すると、購入時の差額は36万円程度となる。

どのくらいで元が取れる?

燃費がいいのはe-POWER。日々かかるガソリン代も安くあがるが、何km走るとガソリン車よりお得になる?

 この36万円を「どのくらい走れば元が取れるのか?」というのが大きなテーマになる訳だが、3つの区間を総合した燃費はe-POWERが24.0km/L、1.2Lガソリンが19.0km/Lといったところだ。

 この燃費でそれぞれの1万kmあたりのガソリン代をレギュラーガソリン1Lの価格を133円で計算すると、e-POWERが約5万5000円、1.2Lガソリンが7万円。

 1万kmあたりのガソリン代は約1万5000円差となり、購入時の差額36万円の元が取れるのは24万km走行時点となる。ガソリン代だけで元を取るのはほぼ不可能である。

 いっぽうでe-POWERは、新車時の車両価格が高いことや中古車市場で1.2Lガソリンより人気になりそうなことも加味すると、次のクルマに乗り替える際に1.2Lガソリンより15万円から20万円高く処分できると想定できる。

 ただ、購入時の差額36万円から15万円もしくは20万円を差し引いたとしても、元が取れるのは10万kmから13万km走行時点と、ガソリン代の損得だけで考えると元を取れる人はかなり少ないと言わざるを得ない。

最終判定 e-POWERはガソリン車より魅力的なのか?

 しかし、損得勘定抜きで1.2Lガソリンとe-POWERを比べると、1.2Lガソリンは街乗りでは特に問題を感じることはないものの、追い越し加速や上り坂といったアクセルを深く踏むシーンではやはり79馬力というスペック通りパワー不足を感じるケースが多々あるのに加え、アイドリングストップしないとアイドリング中の3気筒エンジンの振動も気になる。

 この点を考えると、

「広いコンパクトカーが欲しいのならノートの1.2Lガソリンにこだわらないで、6月下旬にホンダセンシングが着くフィットの1.3Lにした方が値段もそれほど変わらないだろうし、いいんじゃない」

 と思ってしまうのが正直なところだ。

 その点e-POWERはパワー不足やアイドリング中の振動といったストレスから解放されるどころか、BCテストによる最高速が146km/h止まりとなる以外は、0-100km/h加速が8.8秒、ゼロヨン加速も16.4秒とコンパクトカーのスポーツモデル並みの爽快な加速を味わえる。

動力テストをおこなった際の写真。ノートe-POWER(右)は、最高速こそ伸びないものの、優れた加速性能をマークした。写真/小宮岩男

 さらにエコモードとSモードをオンにすると機能するワンペダルドライビングも慣れると楽しい。

 といったことを総合すると、e-POWERを買える予算を用意できるならぜひe-POWERを、その予算が用意できないなら1.2Lガソリンよりフィットの1.3Lガソリンなどの他のコンパクトカーを基本に考えるべきというのが私の結論だ。

【永田恵一】

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