【佐藤琢磨 単独インタビュー】育ててくれた日本へ感謝!「最速を目指すF1、ファンを楽しませるインディ」

「インディカーは求めるところがF1とまったく違う」

——世界の舞台で日本人のドライバーが活躍するのは非常に難しいことだと思います。そのために必要なことは何でしょうか?

琢磨 モータースポーツはチームスポーツ。車以上に速く走ることはできないんです。例えば、優れたエンジニアと組んで、すばらしいセッティングが出たとしても、その通りに車を仕上げてくれるメカニックがいなければ、車は正しい動きを示さない。

だから、チームスポーツとしてコミュニケーションを確実にとること、試行錯誤を重ねながらベストの状態を作っていく。そういうマネジメントが、(日本人の)ドライバーには求められるのではないかと思います。

——欧州のF1を経て米国のインディカーに来て感じた違いや、特有の凄さは何でしょうか?

琢磨 アメリカは求めるところが欧州とはまったく違う。

お金をかけて素晴らしい技術で最速を目指すF1。対してインディカーは、ファンがどれだけレースを楽しんでくれるかがすべて。

例えば、僕は1台体制のAJフォイトレーシングで、(強豪チーム相手に)優勝できた。全ドライバーが平等に戦えるチャンスがあるのは、本当に素晴らしいなと。

インディカーのコクピットから見える世界は、F1ほどラグジュアリーな世界ではないかもしれない。でも、「これこそがレースだ!」みたいな。ガンガン、コース上で追い抜きができるし、イエローコースコーションが入って、誰が勝つかわからない状況って本当に楽しいんですよ!

今も昔も変わらないのは「レースをする楽しさ」

——琢磨選手は鈴鹿レーシングスクール(SRS)からキャリアを始めました。20歳の当時と40歳の今で『変わらないこと』は何ですか?

琢磨 コクピットに入った時のワクワク感とレースをする楽しさ。そして、夢を持ってチャレンジする気持ちは、SRSにいた時も、インディ500で勝った今も変わらないです。そこはまったく同じ。携わる人とスケールが大きくなっただけです。

——SRS時代から「将来インディ500で自分が勝つ」というイメージはできましたか?

琢磨 まったくなかったですね。僕が初めてF1を見に行ったのは1987年の鈴鹿。その前からインディ500はテレビで見ていたけれど、その時、インディ500のスケール感はまったくわかっていなかった。

そして、僕はF1を目指して、夢をみてF1に行って……その後インディカーに来て、もう度肝を抜かれた。

インディ500の、35万人以上の観客が入る会場のエネルギーというのは、今まで感じたことのない、見たこともない世界なんですよ。

レースをする以上トップを目指します。けれど、自分が(インディ500の)ウィナーズサークルにいるイメージは、まったく湧かなかったです。

勝ちたい一心でやっているけれど、インディ500で優勝するなんてことは、本当に信じられない。“夢のまた夢”でしたし。

でも、その(瞬間の)ためにやっていたわけで、挑戦し続けてよかったと思うし、応援してくれた人達を信じ、やり続ければ「夢って叶うんだな」と今改めて思っています。

——インディ500優勝という夢を叶えた琢磨選手に敢えて聞きます。今、琢磨選手の“夢”は何ですか?

琢磨 『夢を持つ大切さ』、『信じ続ける力』が大事なのだと(今回の優勝で)改めて思いました。僕の最終目標はインディカーでチャンピオンを獲ること。それに挑戦できるポジションに今いることは、凄いことだと思うんです。

そして、僕を育ててくれた日本のモータースポーツ界、自動車の社会に何かの形で貢献したいと思っています。

「復興地の子が、いろんな事に挑戦してくれることが僕の目標」

——「(賞金の一部を)復興へ役立てたい」と仰っていましたが、震災復興への想いを聞かせてください。

琢磨 2011年の開幕直前に東日本大震災が起きて……そこからずっとサポートを続けてきました。

復興地の子たちを招待して、ゴーカートイベントをやると、ゴーカートを見たことがなくて、慎重になる子でも、最後は本当に笑顔になる。そんな1日のなかで「不可能と思っても、自分が興味を持ってやってみたらできるんだ」。それを伝えるのは、凄く大事だと感じました。

復興地の子どもたちが、夢を持って、将来いろんなことにチャレンジしてくれることが、僕の最大の目標です。そのお手伝いはずっとしていきたいと思っています。

(佐藤琢磨選手が東日本大震災の復興支援の一環として始めたキッズカートイベント、2017年は全国で8回開催される。詳細は)


「NO Attack, NO Chance」。琢磨選手が色紙にしたためてくれた言葉だ。それは、単にドライビングスタイルだけを表わすのではなく、彼が身を持って私達に示してくれた、人生のメッセージなのかもしれない。

(琢磨選手の色紙プレゼントはこちら

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