ラッキービーストは僕らの手の中に 「ボス」を作っちゃった人と自動運転とAI【編集部便り】

■自動運転の課題とITメーカーの介入

2016年後半から2017年にかけて、大手IT企業による自動運転開発の進捗ニュースが続々と入っています。以下、ちょっとだけ業界的な込み入った話をします。

長年自動運転車両技術の研究を続けてきたGoogleは2016年12月に新会社を立ち上げて開発を続けており(Waymoは同月にホンダと技術提携を結んでいます)、マイクロソフトは2017年1月にラスベガスで開催された「CES2017」にて「Microsoft Connected Vehicle Platform」を発表。すでにルノー日産と共同開発を続けています。

Amazonが開発したAI技術「Alexa」は、すでにいくつかの自動車メーカー(フォード、BMW、ヒュンダイ等)が実際に車両へ搭載されているか、あるいは搭載する計画を明らかにしており、Appleもこれまで長く「社内では自動車事業の研究が続けられている」と報じられていましたが、2017年4月14日、アメリカ・カリフォルニア州の車両管理局(DMV)の公式ウェブサイト上に自動運転車のテスト認可を受けた企業として(テスラやGoogleに加えて)Appleの社名が登場。ついにその開発の進捗が表面化しました。

近い将来、年間1億台といわれる世界自動車生産台数のそれぞれに「なんらかの通信装置」が搭載されることは確実視されており、Google、マイクロソフト、Amazon、Appleらはその通信基盤と、人とのインターフェースになんとか入り込もうとしているわけですね。

さらにいえば、彼らITメーカーは自動車メーカーと一緒に自動車を作る【以上のこと】を考えています。つまり「自動運転が普及すれば、そこに乗る人たちはいっせいにネットに繋ぐだろう。その時のオペレーションシステムに食い込みたい」、「自動運転時の、その空間と時間、体験そのものを丸ごとごと手に入れたい」と考えているわけです。

(ここらへんの詳細は『BUSINESS INSIDER JAPAN』のをご参照ください)

いやーさすがにスケールが大きいですねー。

さてそれに加えてもう一点。

現在、自動運転技術が抱える課題のひとつに、「人と車の協調」があるわけです。電車だったら運転士に操縦を任せてただ乗っていればいいだけなのですが、レベル3以前の自動運転技術では、人が運転席に座って一定程度操縦する必要がある。

そうした時に、車から人(運転者)に「なぜこういう状況でこういう操作が必要なのか」という情報の伝達が必要なんですね。

多くの自動車メーカーは、車を「単なる移動手段」とは考えていません。「移動のパートナー」にしていこうと考えているわけです。

ここ、ちょっと分かりづらいので少しだけ詳しく説明しますと、例えば車側がハンドルとアクセルとブレーキを制御していて、人(運転者)は運転席に座っているだけの状況の時に、車側が突然ハンドルを右に切ったとします。人は驚いて「壊れたかな?」と思うわけですが、車側は「左側から子供が飛び出してくる可能性が62%あった」などと判断していた可能性もあるわけです。

その場合、そうした情報を直接的・間接的に人(運転者)へ伝える機能が、車側にも必要になってくる。

そしてここに「コミュニケーション」、「共同作業」が介在します。

例えばトヨタはそれを「Mobilty Teammate Concept」と呼んでおり、「人と車が同じ目的で、ある時は見守り、ある時は助け合う、気持ちが通った仲間(パートナー)のような関係を築き、車を操る楽しさと自動運転を両立させる、トヨタ独自の自動運転の考え方」と称しています。

いやあ、私たちはこの概念を知っていますよね。そうです。

『けものフレンズ』におけるラッキービーストとジャパリバス、カバンさんとサーバルさんの関係こそが、トヨタが目指す「人と車(とそれを操作するAI)のパートナー関係」の、理想型のひとつだと思うのです。

 

自動運転も人工知能も、間口が広くて奥深い技術分野であるがゆえに、一般ユーザーにとってもエンジニアたちにとっても、とかく論点が散逸しがちです。どういうことかといえば、「ようするにこれが大事なんだ」というポイントがまだまだたくさんあって、社会的な共感を得にくいんですね。そういう状況だからこそ、大切なのは「使っている姿を明るく楽しく想起できること」、つまりイメージやクリエイティブの領域であり、その点においてやっぱり『けものフレンズ』は優れた作品だよなあと思うわけです。

すべての車両の助手席に「ボス」のようなインターフェースが設置され、そこにスマホをはめ込むとアプリが起動し、「オハヨウ、キョウハ ドコへイク?」と話しかけてくれる時代は、もう目の前に来ているかもしれません。

『けものフレンズ』本編や、本記事で紹介したSousaiさんが製作した「ボス」は、そんな「夢」を一足早くかたちにして見せてくれるものでした。

自動運転とAIが実現してくれる未来には、「高齢化社会対策」や「交通事故死者軽減」といった逼迫した社会状況の改善もさることながら、楽しくて明るくて多様性を包み込むような、まさに『けものフレンズ』のような体験も含まれているはずだと信じております。

なお本記事担当の好きなフレンズは相変わらずアルパカさん、推しエピソードは「第3話」なのですが、最近アライさんも気になってます。

※)例によって例のごとく、一部の文章で情熱が溢れてしまったことをお許しください。なお本記事とはあまり関係ありませんが、 は5月26日発売予定です(予約しました)。

 

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