【近頃急増中】電動パーキングブレーキにある意外に大きい長所と短所

 搭載するクルマが世界的に増えてきている「電動パーキングブレーキ(E-PKB)」。操作スイッチのレイアウトの自由度であったり、坂道発進でサポートしてくれたりと、多くのメリットがあるいっぽう、じつはデメリットもあるのをご存じだろうか。

 以下、元日産自動車エンジニアである吉川賢一氏に、その長所と短所を解説していただいた。
文:吉川賢一


■メリットその1:操作力がほぼいらない

 電動パーキングブレーキ(以下、E-PKB)は、基本的には作動と解除はフットブレーキを踏み込んだ状態でスイッチを引くとパーキングブレーキがかかり、スイッチを押すと解除される機構である。

 手引きのサイドブレーキや足踏み式のパーキングブレーキほどには力が必要ではなく、力の弱い方や、障害のある方であっても、簡単に操作できるのがメリットのひとつだ。

■メリットその2:パーキングブレーキの解除し忘れはもう生じない

 パーキングブレーキを効かせたまま走り出してしまった、という経験をした方はいないだろうか。パーキングブレーキ作動中はメーター内に警告が出ており、作動させたまま走行すると、故障の原因となる恐れもあるが、E-PKBには「自動解除」してくれるものがある。

 たとえばシフトをドライブに入れると、自動でパーキングブレーキが解除されたり、アクセルペダルを徐々に踏み込むことで解除されたりするクルマもある。

■メリットその3:運転支援との組み合わせによって疲労軽減が期待できる

 E-PKBは、クルーズコントロールとの相性が非常にいい。前走車へ追従して走行しているときに渋滞で巻き込まれた場合、クルーズコントロール(全車速追従機能付き)とE-PKB連動したクルマならば、ノロノロ運転が続いてもブレーキのオンオフを自動制御してくれるため、フットブレーキから足を踏みかえる頻度が減り、運転者の疲労軽減が期待できるのだ。

機械式のパーキングブレーキ(いわゆるサイドブレーキ)にも長所はあって(たとえば「サイドブレーキターンができる」とか)、個人的には好きなのだけど、安全技術との相性の悪さもあって、世界的には減少傾向

■デメリットその1:寒冷地では思わぬトラブルになりかねない

 寒冷地でサイド式、またはフット式のサイドブレーキを効かせたまま長時間駐車すると、ブレーキが凍結し、パーキングブレーキが解除できない、という話を聞いたことはないだろうか。実はE-PKBでも同じ現象が起こりうる。

 このような場合は、シフトを「P」に入れた後に、E-PKBを解除しておくことが必要だ。エンジンをストップさせるとE-PKBが作動する、というクルマもあるので、寒冷地にお住まいの方や、スキーなど寒い地域へ行く際は注意が必要となる。

 車種ごとに操作方法が異なる場合があるため、マニュアルを読んだり、心配ならばディーラーへ事前に確認することをお薦めする。

(参考サイト:)

■デメリットその2:解除方法がとっさに分からない

 セカンドカーやレンタカー、会社のクルマなど、普段乗っているクルマ以外のクルマに乗ると、E-PKBの操作に戸惑うことがある。現時点、E-PKBの操作方式はメーカー間で統一されておらず、ブッシュで解除されるのかロックされるのか、バラバラな状態だ。

 クルマを発進させるとき、とっさに混乱してしまわないよう、運転する前によく確認をしておく方がいい。

 ちなみに、足踏み式パーキングブレーキのクルマに長いこと乗っていた癖で、E-PKB搭載車なのに、左足で「ダンッ」と思いっきり足踏みをしてしまうという恥ずかしい思いをしたことがあるのは、筆者だけではないはずだ。

■デメリットその3:機能を誤解する可能性がある

 昨今のE-PKB搭載車には、信号待ちの停止時に、フットブレーキから足を離しても停車し続ける「ホールド機能」が備わっていることが多い。

 しかし、すべてのE-PKB搭載車に、同様のホールド機能があるとはかぎらない。「ホールド機能があるものだ」と過信をして信頼しきっていると、思わぬ落とし穴にはまる可能性がある。

■まとめ

 E-PKBはとても便利な装置だ。安全運転のサポートから、ドライバーの疲労低減までもが期待できる。しかし、過信は禁物。ドライバーは、使い方を十分に分かった上で使用できるようになることが必要である。

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