ディーゼルエンジンの未来(1)

石原慎太郎元都知事の黒煙パフォーマンスで、すっかり悪者扱いされ日本では人気薄のディーゼルエンジン車。しかし、ガソリン車より排出するCO2が少ないクリーンディーゼルに切り替わり、ヨーロッパでは主流になった。国内でもマツダのCX-5、アテンザの爆発的な人気で市民権を獲得。さらに、経済産業省がディーゼルエンジンの高性能化研究に補助金を出す構え。動きが急になったディーゼル市場は要チェックだ。

 

13年は一気に倍増ディーゼル車8万台

まず、クリーンディーゼル車の国内販売状況から確認してみよう。クリーンディーゼル普及促進協議会がまとめた国内の販売実績推移表を見ると、ベンツE320CDIが日本に導入された’06年はごくわずかな市場にすぎなかった国内クリーンディーゼル車だが、規模は右肩上がりで急速に拡大している。’08年には日産のエクストレイルと三菱パジェロのディーゼル仕様が発売され、3000台市場になった。そして、ベンツE320ブルーテックとML350ブルーテックが登場、エクストレイルのディーゼルにATが追加された’10年には1万台規模に拡大する。

 ’11年の小休止を挟んで、マツダからCX-5のSKYACTIV-DとアテンザXDがデビューした昨年は、一気に4万台市場へと大躍進した。BMWの320d、523dとX3xDrive、X5xDriveも日本に導入され、市場拡大を後押ししている。

さらにマツダ勢の勢いは衰えることなく、今年は1~6月でクリーンディーゼル車はおよそ3万8000台を販売した。昨年12月には三菱デリカD:5も追加されており、暦年では8万台に届こうかという快進撃だ。

 こうした状況を関係者はどうみているのか。クリーンディーゼル普及促進協議会の山中隆一事務局長はこう分析する。

「クリーンディーゼルのよさが理解されてきたこと、そして何より魅力的な車種が市場に投入されたことが要因でしょう。

ご承知のように、ヨーロッパではクリーンディーゼル車が広く普及しています。年間新車販売で57%とガソリン車を上回った年があるほどです。

いっぽう、日本ではディーゼル車に悪いイメージがありました。しかし、クリーンディーゼル車にはメリットが多くあります。排出するCO2はガソリン車より少なく、燃費がよく安い軽油を使うことによるランニングコスト上のお得感もあります。また、トルクが力強く気持ちのいい加速、高速道路での安心感が得られます。ただ、こうしたメリットが理解されても、今までは購買意欲をかき立てる新車が少なかったのも事実です。そこにマツダのCX-5、アテンザがデビューして人気を集めたのです」

 確かに、マツダ勢のデビューまでは、クリーンディーゼルの選択肢が少なかった。高額な輸入車のベンツか、ヘビーデューティ系SUVだけというラインアップ。それでは二の足を踏んでしまうだろう。

 マツダのSKYACTIV-Dは、低圧縮比による燃焼温度の低下によりNOxのクリーン化に成功したことが最大の成果。それにより、NOx還元触媒を省くことができる。

 ディーゼルエンジンのクリーン化で最大のネックは、実はこの触媒のコスト。触媒に使用するプラチナなどの貴金属がべらぼうに高価で、コストアップを余儀なくさせているのだ。

 SKYACTIV-Dは、この触媒を省くことでコストを浮かせている。ターボ搭載によるスムーズかつパワフルなエンジン特性を追加しても、触媒省略のコストダウンでお釣りがくるから、魅力的なクルマを低価格で導入できた。これが爆発的な人気につながったのだ。

<続>

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