スズキ スイフトスポーツ Boosterpackdepot入魂企画 水野和敏が斬る!Vol.01

  こんにちは、水野和敏です。読者の皆さん、東京モーターショーには行きましたか。私は仕事の関係で行っていません。会社を辞めて以来、定職を持たない書類上は無職のオヤジなのですが、幸せなことにいろいろなジャンルからご依頼を頂き、少しでも皆様のお役に立てればと思い活動している毎日です。就活は……いずれその時になりましたらお話しいたします。

コンパクトクラスのスポーツハッチバックを評価

 さて、今回Boosterpackdepot編集部が用意したテーマは「コンパクトクラスのスポーツハッチバックを評価せよ」というものです。前回はベンツSクラスやレクサスLSだったので、今回はまったく違う方向のクルマたちです。

 以前はホットハッチなどと呼ばれたもので、トヨタも日産もホンダも三菱もこのカテゴリーに元気のいいクルマをたくさん投入していましたが、今では数えるほどになってしまいました。売れなくなったから作らない……というのはメーカーとしては結果だけを見た判断だと思います。

 強い信念と独自の商品造りで世界に市場を創りだしてきた80年代に対し、近年はグローバル化対応という名のもとに、アメリカ型のマーケットリサーチやベンチマーク手法といった、マーケットリーダー競合車とモノだけを比較し、

 そして他社と同じ評価軸しか視られなくなり、開発もルーチン化され規定以外のことができなくなってしまったメーカーのクルマ作り戦略やマーケットリーダーと比較した評論が結果的に「どれも同じ」という商品と「売れない」というマーケット状況を作りだし、そして人々の「クルマに興味がなくなっていく」というマインドを創っているのではないでしょうか?

 GT-Rもこの道を歩き始めたように思うのは私だけでしょうか……?。世界に独自の商品から、マーケットリーダーと同じ構成の商品に、そして結果としてみな同じようなモノに。ここは機会があればBoosterpackdepotや私のHPで詳しくお話しすることにしますが……。

 さて取材の現場にスタッフが乗ってきたのは目にも鮮やかなレモンイエローのスイフトスポーツとオレンジ色のフィットRS。事前の打ち合わせではモデルチェンジしたばかりの新型アクセラスポーツも乗ることになっていたはずですが……。

 アクセラについては「あとから合流します」とのことで、別の日にあらためてしっかりと試乗をして評価をさせていただきました。もちろん、今回の記事中でアクセラについてもほかの2台と同じ様な条件でしっかりと評価しました。

スイフトスポーツとフィットRS

スズキらしい個性を感じるクルマだ。

 まずはスイフトスポーツから。派手なレモンイエローのボディカラーも、このクルマだったらよく似合っている。スポーティなイメージを乗る前から感じさせてくれてワクワクしてくる。こうした演出も大切だ。しいていえばシルやバンパーの下面を黒系のガンメタ塗装を入れると車高が低く、また下半身に重みが出ていいと思うのだが……。

 走り出してすぐに感じるが、このクルマは本当によくできていると思う。一般的なFF車というのは、フロントサスをソフトに動かして応答性をよくしてやるものなのだが、スイフトスポーツはフロントがしっかりしていてハンドルを切っても必要以上にロールしない。前の姿勢が崩れないのだ。

 一般的なFF車は、フロントサスを動かしてやるいっぽうでリアサスを固めて踏ん張らせるセッティングでバランスをとっていくのだが、スイフトはまったく逆A。以前乗ったアテンザは一般的なフロントソフト手法で絶妙なバランスを作り上げていたのが印象的だった。後ろを軸に固定して前をしなやかにさせるというバランス。

 スイフトはリアサスをしなやかに動かして、逆にフロントはカッチリ固めて、フロントの動きにリアを追従させることでバランスをとっている。フロントのシャープな動きに対して。わざとリアが若干遅れるようにしながら追従してくるチューニング。前の動きに合わせていく感覚だ。これがスイフトスポーツのハンドリングの妙で、面白さと安心感につながっているのだろう。

 ある程度の速度で山道を走ると、当然ロールはするのだが、その際にフロント外輪側……、例えば左コーナーであれば左フロントのロールがよく抑え込まれているということ。前輪の左右の接地変化が少ないので舵の効きがいいし、前輪の特に内輪側のグリップを活かしきることができる。

 併せて荷重の乗る前輪アウト側もしっかりと踏ん張ってくれるので、対角線上にある後輪の内側のタイヤがリフトアップせず、しっかり接地してくれるため後輪までもが姿勢変化が起こりにくい。

 いわゆる『三輪走行』にならないということ。したがって、フロント荷重が高まる下りコーナーの進入でも安心感が高いのだ。下りコーナーでは三輪走行になっているFF車が多いのだが、このスイフトスポーツではそれがない。

 普通のFF車のセオリーとは逆のことをやっている。初代のプリメーラPと同じセットだ。

 路面のアンジュレーションを拾っても、フロントはしっかりと抑え込んでくれてリアで吸収するため、運転していてしっかり感を感じ、また目線の移動も少ない。フロントまわりのボディ剛性もものすごく高い。

 舵の動きに対してフロントがリニアに反応してくれるのは、フロントバルクヘッドやストラット取り付け部などの剛性がモノをいう。上屋と下回りの動きにずれがないので、ドライバーの感覚にマッチした動きを感じさせてくれるのだ。だから運転していて楽しい。

 なぜスズキにこのような足のセッティングや車体ができたのかというと、おそらくスズキにはクルマの作り方にフルラインアップメーカーのような慣れやベンチマーク手法がなく一品ごとにきちんと結果を追いかけて作っているからだと思う。

 これはけっしてスズキをバカにしているのではない。なまじっかクルマ作りのセオリーだとか企業の歴史や開発の規定をしっかり持ってこれにがんじがらめにされてしまっていると、自由な発想と結果を求めたクルマを作ることができなくなってしまうということをいいたいのだ。

 「FF車だったらフロントをソフトにしてリアを硬くしてバランスさせる、車体はこういうするのが基準」という規定が社内の技術伝承とされていたら、それに逆らったことはなかなかできないもの。

 スズキにはそうした悪しき慣習がなかったから、スイフトのような自由な発想で作ることができたのだろう。スイフトがやっていることは、ある意味「非常識」なのだ。

 しかし、その非常識が運転していて楽しさと安心感が感じられる結果につながっているのだ。FF車というのは宿命的にフロントに重量物が集中している。したがってフロントヘビー。だったらフロントをしっかりと支えるセッティングにしてやればいいじゃないか、と考えるのは当然の流れ。

 ただ、ここでクルマ屋歴が長い会社だと「FFはフロントロール剛性をソフトにして……」が出てくる。だけどスズキにはそれがなかったので素直に固くした。この固めたフロントとバランスをとってやるためには、リアをしなやかに動かして追従させる必要がある。この理屈で作ればスイフトのハンドリングができ上がるというわけだ。

 この考え方は実は私がやったP10型プリメーラと基本的には同じ方向性。プリメーラではリアサスをストラットにして独立懸架としたけど、スイフトはトーションビームで作り上げているのはすばらしい。

 FFの優れたクルマというとVWゴルフが頭に浮かぶが、ゴルフはここまでフロントをしっかりさせてはいない。

 前後のバランスを重視したセッティングでFR的セッティング。スイフトのセッティングの方向とは違っていて、ちょっと上級サルーンのような乗り味とハンドリングを作っている点が異なる部分。

 スイフトのサイズやスポーティなキャラクターを活かすには、ゴルフの方向ではなく、やはり現状で正解だ。これは現代では『スイフトワールド』といってもいいのではないか!?

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