快適すぎ!? 便利すぎ!? このクルマを買ったらほかにいけない「あがり」のクルマ 5選

 昔から、これを買ったら「あがりのクルマ」と言われるクルマがありますよね。そのクルマを買ったら、次に買うクルマはそのクルマ以外考えられない。つまり、他車へ乗り替えられないほど、同じジャンルのライバル車を圧倒しているクルマです。

 みなさんもよくご存じの「いつかはクラウン」というCMコピー。ところが、そのクラウンを一度買ってしまうと、あまりにもよすぎて、なかなか他車へ乗り替えられないという話をよく聞きました。

 そんな「あがりのクルマ」は、今どれくらいあるのでしょうか? モータージャーナリストの清水草一さんが考察します。

文/清水草一
写真/Boosterpackdepot編集部


■現代の「あがりのクルマ」はどのクルマだろうか?

 かつて、「あがりのクルマ」といえば、クラウンがその代表選手だった。しかし、クラウンの上にセルシオができ、レクサスLSになり、クラウンは国産セダンの頂点の座から転落。

 クラウンオーナーも高齢化によってダウンサイジングするようになり、あがり感は昔に比べると、かなり減少している。

■N-BOX/地方の庶民派「あがりのクルマ」

N-BOXは2011年12月発売。翌2012年に21万1155台で軽四輪販売2位、四輪販売総合4位。2013年、23万4994台で軽四輪販売で初の1位を獲得、四輪販売総合3位。2014年、17万9930台で軽四輪販売2位、四輪販売総合5位。2015年、18万4920台で軽四輪販売1位、四輪販売総合2位。2016年、18万6367台で軽四輪販売1位、四輪販売総合2位。2017年9月1日に2代目N-BOXが発売となり、2017年にはついに21万8478台で軽四輪販売1位、四輪販売総合1位と完全制覇。そして2018年1〜6月上半期は12万7538台で軽四輪販売1位、四輪販売総合1位を達成。2018年通年も軽四輪販売1位、四輪販売総合1位を獲得するのは濃厚だ

 軽自動車は、ある意味閉じた世界。なにしろ税負担が軽いから、維持がめちゃめちゃラク。軽の世界に住んでいると、軽以外のクルマは地球外生命体に思えてくる。

 そんな軽の世界の住人の多くが、軽の頂点を目指している。クルマ全体の頂点だと数億円ということになってしまうが、軽の頂点なら200万円くらいで到達できる。

 最近はオプション込みで300万円近くまで行くこともあるが、 それでも300万円。普通車に比べたら100分の1レベルの予算で頂点を極められる。

 地方に行けば、走っているクルマの半分は軽。Sクラスもロールスロイスもめったに見ない。軽の頂点に立っていれば、半分のクルマのてっぺんに君臨する王者になれるのだ。これは実に魅力的。よって軽の頂点は、地方の「あがりのクルマ」なのである。

 たとえば地方では、ガールズバーに行っても、おねーちゃんもみんな軽に乗っている。おねーちゃんたちにとってクルマと言えば軽。軽以外は地球外生命体なので、話がはずまない。軽に乗っていたほうがガールズバーでも有利だ。

 現在、軽の世界の頂点に君臨しているのは、言わずと知れたN−BOXだ。なにしろ国内販売台数日本一。日本の頂点に君臨しているのだから。

 N-BOXのライバルには、スズキスペーシアやダイハツタントがあるが、N-BOXのリードは揺るがない。

 その理由は、私にははっきり説明できないというか、正直なところわからないのだが、カッコが一番四角っぽくて機能的だし、ホンダならではの後席跳ね上げ機構(チップアップ)が受けているのだろうか?

 ホントのところはよくわかりませんが、乗り心地もN-BOXが一番フワフワしててカイテキです。さすが「あがりのクルマ」である。

■アルファード、ヴェルファイア/これ以上いいミニバンはない?!

いまや、エルグランドをぶっちぎり、そのおもてなしの装備、シートアレンジでベンツVクラスをも超えたアルファード、ヴェルファイア。社長や役員などVIP専用車として使われるセンチュリーに次ぐ存在?!

 クラウンに代わって「あがりのクルマ」の定位置に定着したと推測されるのが、国産ミニバンの頂点に君臨するアルファード/ヴェルファイアだ。

 アル/ヴェルが、VIPの移動の足としての地位を確立してすでに久しいが、実際のところコレに乗ってしまったらもう、これより上はない。クラウンの上にはレクサスLSやメルセデスSクラスがあり、よりビッグな上昇志向を満たすことも可能だが、アル/ヴェルより上のミニバンは、この世に存在しない!

 メルセデスVクラスという選択肢もないではないが、実際乗るとアレは兵員輸送車のようなもので、あまりにも質実剛健。おもてなしの心がなさすぎる。シートも乗り心地も硬質すぎる。

 アル/ヴェルの快適性は、あくまで国内での移動、つまり低速走行に限ったもので、アウトバーンではまったく通用しないが、日本にはアウトバーンにはないので問題ない。  

 路面が悪い道路だと、左右スライドドア構造ゆえのボディ剛性不足により、乗り心地もそれほどいいとは言えないが、そこはゆっくり走ることでクリアできる。

 実際にアル/ヴェルは、ロールスロイス的ショーファードリブンのVIPサルーンとして使われている率が高い。これを「あがりのクルマ」と言わずして、なにを言うのか!

 アル/ヴェルは、アジア諸国でもあがりのクルマとしての地位を確立しつつある。実に頼もしい限りだ。

■メルセデスベンツSクラス/グローバルでの「あがりのクルマ」

ロールスロイスやベントレーなど頂点に位置するショーファードリブンカーはもちろん存在するがグローバルな視点で考えた場合メルセデスベンツSクラスはまだまだ「あがりのクルマ」だ。時計で例えるならROLEXがメルセデス、パティックフィリップがロールスロイスだろうか。日本ではS440dの1116万円からS600ロングの2358万円まで10グレードをラインアップ。この上にはメルセデスAMGのSクラス、AMG S63ロングの2478万円からS65AMGロングの3360万円がある。さらにSクラスベースのマイバッハS560が2308万円、マイバッハS650が2821万円などが用意されている

 高級セダンの一般的な頂点と言えば、やっぱりコレ。従来的な価値観で考える限り、Sクラスこそ「あがり」のクルマ界のワールドワイドな王道である。

 Sクラスの名声は、全世界にあまねく轟いている。アルファード/ヴェルファイアを知らない人は、世界中に60億人以上いると推測されるが、Sクラスを知らない人はほとんどいないだろう。世界中のVIPが乗っているのだから。

 なにしろ、世界の最秘境と言われる北朝鮮ですら、Sクラスが頂点なのだ。その他、世界の最貧国でも、大金持ちはSクラスに乗っている。日本は島国だから外敵の侵入がなく、アル/ヴェルで満足できるが、陸続きの国ではだんぜんSクラス! グローバルなステイタスの高さはハンパではない。

 日本でも相変わらず、Sクラスのお客様は、Sクラス以外に乗るクルマがないと言われる。Sクラスより上には、ベントレーやロールスロイスがあるといえばあるが、それらはクルマに情熱を持っている人が乗るもの。ディーラー数も限られている。フツーのお金持ちが買うには、なかなかハードルが高い。

 それに、ベントレーやロールスのお客様は、今後ランボルギーニ・ウルスに浮気するかもしれない。やっぱり「あがりのクルマ」の王者は、メルセデスベンツSクラスでキマリなのだ。

■ジムニー/本格的なオフロードの「あがりのクルマ」

オフロードでの本格な走行こそ本来の性能を発揮するジムニー。一時期は納期1年待ちといわれていたが、2018年9月、ジムニー/ジムニーシエラ合わせた月産生産台数をこれまでの約1.5倍にあたる7000台に引きあげ、現在では納期半年ほどといわれている

 マジでオフロードを走る日本のドライバーにとっては、ジムニーは間違いなく「あがりのクルマ」だ。なにしろここはニッポン。「狭いニッポン、そんなに急いでどこへ行く」というくらいで、日本の道は狭い。林道はなおさら狭い。

 そんな狭い道に、ランクル200系とかで出撃しても、林道にはみ出している枯れ枝で、大事なボディに傷がついたりしてしまう。もちろんGクラスも同様だ。

 実は日本では、ランクルやGクラスはオフロード用ではなく、アーバンなシティライフ用。なかにはペンションの送迎用にランクルを使っているケースもあるでしょうが、ペンションそのものがものすごく下火なので、最近あんまり聞きません。ペンションの廃墟、よく見ますよね。涙が出ます。

 その点、ジムニーは無敵だ。この小ささでこのオフロード性能。ジムニーで行けない道は、クルマじゃムリ! 戦車とかじゃないと! あるいはかんじき! そんな感じである。

 本格的にオフロードを走る人にとっては、ジムニーこそが究極のマシンで、つまり、これ以外に選択肢のない。「あがりのクルマ」なのである。

■日産リーフ/地味ながら「あがりのクルマ」の一角に食い込んでいる

電気自動車のリーフが、クルマ生活の「あがり」なのかもしれないと清水さんは指摘する

 地味ながらひそかに「あがりのクルマ」化しているのが、日産リーフではないかと私は睨んでいる。

 我々が話を聞く機会のあるリーフオーナーは、だいたいクルマ好きか新しもの好きで、あがり感はまるでないのだが、実際に都内でリーフが置いてある車庫を見ると、それなりに年輪を重ねた一戸建てが多い。

 なにしろリーフを自宅で充電するためには、持ち家一戸建てでないと充電設備設置のハードルが高い。よってリーフオーナーは、持ち家一戸建てオーナー(ほぼ高齢者)である確率が相当高いと推測される。

 かつ、EVであるリーフは航続距離が限られている。途中で急速充電するなんてめんどくさいことをわざわざ実行するのは、クルマ好きか新しもの好きで、そのほかのリーフオーナーは、「クルマで遠くに行くことはないから」という、高齢ドライバー率が高いはず。

 高齢ゆえにエコ意識が高まっている可能性も高いし、「災害の時に充電池として使える」というリスク対策を取るのも、余裕のある高齢者ゆえではないか?

 こうして考えると、実はリーフは、現状、「あがりのクルマ」の代表選手の一角に食い込んでいると見て間違いないだろう。

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