スタッドレスじゃダメ!! 雪国ユーザー必読!! 国土交通省がチェーン装着義務に踏み込んだわけ

 スタッドレスタイヤの性能の進化は大きく、すでにタイヤチェーンの巻き方なんて知らないというユーザーも多いはずだ。

 しかし2018年12月上旬より、一部の地域で「チェーン装着車以外は通行禁止」という規制が施行されるという。

 ちょっと騒ぎになっているが、今回は国土交通省 道路局 国道・防災課に話を聞いた。チェーンを慌てて買う必要はないかも!?

文:BoosterpackdepotWeb編集部/写真:Boosterpackdepot編集部


■スタッドレスタイヤだけではダメ、は本当なのか?

 近年のスタッドレスタイヤは日本特有のミラーバーンなどの特殊路面でも高い性能を誇る製品が多い。

 冬の降雪地域ではスタッドレスタイヤが主戦力であり、街中を走るクルマを見てもかつてのようにタイヤチェーンを装着しているクルマは減ってきた。

 しかしここにきて国土交通省が「チェーン装着車以外の通行を規制する」なんて発表をしたから大騒ぎになっている。

 2018年11月15日18時配信の日本経済新聞の記事では「立ち往生が懸念される区間で」チェーン装着車のみに通行規制との旨の記述があるが、見出しだけで慌ててしまったユーザーが多いようだ。

 だがとりあえずこの記事を落ち着いて読んでいただきたい。まず要旨をからまとめてみる。

・今回のチェーン規制は大規模立ち往生などが発生しやすい地点のみでの規制

・この規制下ではスタッドレスタイヤのみでは通行できない

・2018年12月上旬から施行予定

・どの程度で規制を実施するかは現場判断(具体的な降雪量では決めない)

 以上の4点が大きなポイントとなる。

 今回の発表の背景は2017年に鳥取県で発生した300台以上の大規模立ち往生など、近年の大雪による大規模な交通障害だ。

 そのような大規模立ち往生を受け、国土交通省が定める特定の道路において、道路管理者や警察など諸機関の判断によってチェーンの装着を義務化することができるようにしたものが今回の規制だ。

今回のチェーン規制ではこのような標識も新設される。図柄どおり、チェーンを装着していないクルマは通行止めだ(国土交通省発表より)

 一部メディアの情報を聞いたユーザーのなかには「チェーンを買わないと雪が降ったら道路を走れない」と勘違いしている人も多い。

 実際に国土交通省にもユーザーから同様の問い合わせが相次いでいるという。取材した国土交通省道路局の担当者は言う。

「多くの方に誤解を招いておりますが、規制対象は全国の道路ではなく一部の指定した道路になります。またチェーンを履かないと進ませない、というスタンスではありません。

本来は除雪などで全面通行止めにするケースが多いのですが、除雪前にチェーン装着車のみ通行可能にすることなどを考えています。

逆に除雪完了後にチェーン装着車から通行を開始して、そこからチェーン装着の規制を解除していくというケースも想定しています。

また規制の実施判断ですが降雪予報や降雪量で基準があるわけではなく、現段階では現場の判断で行う方向です」。

 一部報道では地域などが掲載されていたが、現段階では具体的な道路名や地域などはまだ答えられないとのこと。ただし原則として幹線道路などではなく、対面通行の国道や峠道など、大規模立ち往生などが発生しそうな道路を想定しているとのこと。

 規制の考え方としては除雪のための全面通行止めの前後で、チェーン装着車のみ通行可能な時間帯を作ることで交通を円滑化する狙いがあるようだ。

 だから大雪が降ったからといっていきなり市街地でチェーン装着車しか通行できない、なんて事態は発生しないので安心してほしい。

■「規制下ではチェーンを履かないと違反になります」

 前述の規制が一部地域で限られた時間で行われることはおわかりになったと思う。

 大きなトピックとしてはこの規制下ではたとえスタッドレスタイヤを履いていても、チェーンを履かないと通行ができないということがある。

 しかし車種によってはチェーンを装着していてもスタックする、もしくはスタッドレスタイヤのみでも通行できるケースも充分に考えられる。

 それについて国土交通省はどう考えているのだろうか。

立往生が発生してしまうと解消までに数日かかることもある。チェーン装着車のみ混乱の中で通行させることができるのか、現場サイドの準備も多く必要だ

「駆動方式や車種によって走行性能に差が出ることも個人的には理解しております。しかしトラックはダメだけど4WDのSUVは大丈夫、というようなやり方はできないのも実情です」。

 このように国土交通省の担当者は語る。しかし「チェーンさえつけていれば進める」というのでは更なる交通混乱を招く可能性も大きいという指摘も多い。

 さらにどうやってチェーン装着車のみ車列の前に出して通行させるのか、待避所やチェーン交換場所などの用意はどうなっているのかなど、疑問は尽きない。

 ちなみにであるが今回の規制は道路法46条に基づいているものであり、違反車両には罰金以上の刑罰が科せられる可能性があるとのこと(道路交通法の反則金制度は適用外)。

■規制の詳細が見えてこないが大丈夫か!?

 2018年12月上旬から施行されるというこの規制。困ったことに2018年11月16日現在でも、どの地方のどの道路で実施するか発表がない。

 規制対象地域の住人からすればチェーンがないと生活ができないケースに陥ったり、その地域を通行するトラックやバスなども大きな影響を受ける。

 電話取材の様子からするともう間もなく発表にはなりそうだが、冬期道路交通確保対策検討委員会は2018年2月から設置されているわりには決定が遅いのは問題だ。

 またこの冬期道路交通確保対策委員会にもやや疑問が残る。

 メンバーは大学教授など交通や防災のスペシャリスト、大手新聞社などを招聘しているのだが、タイヤメーカーや、自動車メーカーなどの名前はない。

チェーン装着下でもスタックしない車種もあれば、車高などによってはスタックする可能性もある。そのデータを持つのはメーカーではないだろうか

 どれくらいの勾配や積雪量でスタックの危険性があるのかなど、自動車メーカーやタイヤメーカーは多くのデータを持っているはずだ。

 それに基づき「この道路ならチェーンでがあれば進める」、もしくは「この道路はチェーン装着でも難しい」などの判断ができると思う。

 全車種にチェーンの装着を求めるという今回の規制。それが現実的に有効なのかは実際にやってみないとわからない。

 とはいえ、2017年の大雪ではスタッドレスタイヤもチェーンも履いていない大迷惑ドライバーも多かった。

 少しでもこのニュースで雪道への危機感を持ってくれるのであれば、今回の規制も歓迎すべきなのかもしれない。

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