デカいけど!! 高いけど!! シビックの走りは「お値段以上」だ

 ホンダのシビックといえば老若男女問わず愛されたクルマで、そのスポーティなイメージでクルマ好きからも好感度の高いクルマだった。

 しかし段々と大型化が進むシビック。ついに先代のタイプRからターボが搭載されるなど時代が大きく変わってしまったのも事実。

 とはいえ、シビックがダメなクルマなのかといえばそんなことはない。現行シビックのいいとこ、悪いとこお伝えします。

文:BoosterpackdepotWeb編集部/写真:池之平昌信、編集部


■安心感はかつてのシビックと段違いだ

 新車として発売したときには話題になったけど、最近めっきり目にする機会がなくなったクルマは数多い。

 そのなかでも「じっくり乗ってみたらいいクルマなんじゃないか?」ということで、前回ホンダ・グレイスに乗ってみたら、ほほー、案外いいじゃないか。

 すっかり味をしめた当編集部。今回はシビックハッチバックに乗ってみました。

 前回のしぶ~い「サバの味噌煮定食」のようなグレイスと比べると、まるで「ヒレカツ定食」のような王道感もするシビックハッチバック。

 外観については好みもあると思うが、まず前後バンパーのダクト「風」の処理が大きく目を引く。熱烈なシビックファンならちゃんとダクトにしてくれ!! なんて思う箇所かもしれない。

デザイン面で目立つのがこのダクト「風」なデザイン処理。賛否両論あるがシビックならなにか機能を持たせてほしいなんて思ったり

 そうそう、新型シビックの記事を書くと結構反響が多い。「EK9のVTECが最高だった!!」とか「ターボなんてシビックじゃない」なんてコメントが結構ついたりするのです。

 担当もかつて初代シビックタイプRに乗っていた人間でございまして。VTECがハイカムに切り替わり、そこでアドレナリンが分泌される感覚にほれ込んだ部類でございます(なかなかこのハナシは他人に通じないけれど)。

 コンパクトな車体にこだまする脳天を突き抜けるような、「クォォォーーーーン」というVTECサウンド。あの感じ、わかりますとも!!

 たしかに「あの頃」と比較してみると、現行シビックは違うクルマに思える。価格は280万円するし(タイプRは450万円!!)、車幅1800mmはもはやクラウンと同じサイズだ。

 でもなんだか地味にシビックハッチバックが売れているなんてハナシも聞く。実際に2018年7月に月間987台も売れているのだ。「デカい、高い、ターボ」とファンは敬遠しているかもしれないが、そこそこ売れている。

 決して大ヒットではないがシビックセダンが同月に265台ということを考えれば、やはりハッチバックへの期待が大きい。

素直な乗り味でクセがないシビックハッチバック。特に赤いボディカラーだとブラックアウトされたグリル部などとのコントラストがかっこいい

 ハッチバックはセダンの国内生産に対し、タイプRと同じイギリス生産を貫く。足回りは確実にセダンよりワンランク上といった印象を受ける。

 首都高速の都心環状線を走ってみる。都市高速特有の大きな道路の継ぎ目、路面にはうねりも逆バンクもある。そんな路面でも追従性は抜群。

 凹凸路面でも目線の上下動が少ないのに気付く。車線変更などでもフラフラっとする瞬間が極めて短く、ロールもピタリと止まる。

 ハンドリングも抜群。FF車は曲がらないなんてムカシの話、と思わせたくなるグイグイと切れ込むのだ。充分すぎるほどスポーティだ。

 ガッチリしたシャシーだからダンパーを有効に使うことができる。これならば欧州車にだって太刀打ちできると思うほど(お世辞抜きで)。

■シビックのイメージはいったいどうなる!?

 シビックというだけで条件反射のように8000回転まで一気に回るエンジンを想像するのがクルマ好きの悲しい性だが、もうB16エンジンはないのです。

 9000回転は夢のまた夢ではあるけれど、現行シビックの1.5Lターボ(MT)は182ps/5500rpm、24.5kgm/1900-5000rpmを誇る。たった182psなんて侮るなかれ。

 大人4名乗車でも加速感は鈍くなく、MTならばそのトルクの太さも実感できるエンジンだ。そしてきっと多くの人がイメージしているターボ化したネガは出ていない。

 ただ、ちょっと気になるのがシフトの感覚。現行のシビックタイプRの「コクッ」と小気味よく入るシフトと比較するのは酷かもしれないが、すこし緩さを感じてしまう。

 とはいえ、違和感なんてものはそんなもので、クルマ全体が醸し出す何事も起こらない安心感がある。同時に、すべてが自分の手中にある感覚も覚える。

絶品の足回りはサーキットでの試乗でも効果あり。FFだがリアの接地性が高められているため安定感も抜群だ

 けれどシビックハッチバックにはハードよりもソフト面で大きな課題があると思う。このクルマがどんなカーライフをもたらしてくれるのかがハッキリしないことだ。

 コンパクトだけど実用性もあって、クルマ好きならキビキビと運転も楽しめる。そんなかつてのシビックが持っていたイメージは根深くファンの心理には残っている。

 まずそれをズバッと否定する必要があるのかもしれない。「はい、これが新型シビックです」と言ってもファンは少し受け入れがたい部分だろう。

大きなラゲッジスペースはベビーカーもスーツケースも楽々飲み込む。スポーティでいながら実用性も非常に高い。これは昔のシビックから引き継ぐいいところ

 現状は本当にいいものを求めるエンスー層が買うクルマになっている。もちろんそれでもいいのだが、日本市場でのシビックのイメージが少しフワフワしている気がしてならない。

 あれこれ話が散らかりつつあるので軌道修正したいが、クルマ自体の完成度の高さは多くのジャーナリストも認めるところ。

 もし乗ったことがないのなら、ぜひ試乗をおすすめしたい。この価格でこの完成度ならいいじゃん!! と実感できるクルマだ。

【シビックハッチバック主要諸元(6MT)】
全長4520×全幅1800×全高1435mm、ホイールベース2700mm、車両重量1320kg、最高出力182ps/5500rpm、最大トルク24.5kgm/1900-5000rpm、車両本体価格280万440円

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