激似!クルマ界でも通用するのか!? 親の七光りグルマ

 どこの世界にも必ずあるのが、親の七光り。特に芸能界では顕著だ。「いや、あれは七光りじゃない、実力だ!」と言えなくはないですが、でもやっぱりスタート段階では七光りの威力は絶大。

 芸能界の元祖みたいな歌舞伎の世界じゃ、今でも世襲が基本なわけで、見る側だって「〇〇の子供」と聞くだけで見たくなるわけで、これは需給関係と言ってもいいのでしょう。

 ところが自動車業界では、親の七光りがあまり通用しなくなりました。昔は「いつかはクラウン」みたいのがあって、その予備軍はマークⅡやコロナやカローラに乗ったわけだけど、親玉のクラウンに乗る人が高齢化し、いつかはクラウンなんて言う人がほとんどいなくなった。親が落ちぶれたので、七光りも消えつつあるのです。

  しかしそれでも、一部には残っている親の七光り。まずは現行の七光りモデルから取りあげてみよう!

文/清水草一
写真/BoosterpackdepotWeb編集部


■アルファード→エスクァイア:グリルの威圧感は親以上か?

子/エスクァイア

5ナンバーミニバン、ノア&ヴォクシーをベースに高級感、上質差を向上させたエスクァイアは2014年10月に発売され、販売は好調

親/アルファード

言わずと知れた日本ミニバン界のキング。2015年1月にデビューし、2018年1月に外観においては、フロントフェイス(ヘッドランプ、グリル、バンパー)及びリアのバックドアガーニッシュとコンビネーションランプがデザイン変更を受けた。サイズが全長4945×全幅1850×全高1950mmというサイズが購入をためらわせる?

「いつかはクラウン」は高齢化によりほぼ消滅したが、代わって浮上したのが「いつかはアルファード」というムーヴメント。特にヤンキー文化の中には、アルファードを頂点としたピラミッド構造が堅固に構築されておると思われます!

 親であるアルファードは、もともとは日産エルグランド(初代)のパクリとしてスタートしておりますが、若い層にとってアルファードは神。

 その神に近付こうということで、小アルファードとして誕生したのがエスクァイアです。 なにせ、鼻の上から顎の下まで全部口というか巨大な歯(グリル)。口(歯?)の上下幅では親をも超えるほどの、巨大な七光りぶりである。

 ホント言うと、エスクァイアは2014年発表で、現行アルファードは2015年なので、エスクァイアのほうが親という気がしないでもないが、イメージはアルファード的イバリ顔。それは間違いない。

「エスクァイアはアルファード/ヴェルファイア両方の七光りじゃないの?」というご意見もあるでしょうが、2018年1月のマイチェンでは、明らかにアルファードの後を追った感じのグリルに小変更されており、現行モデル同士を見比べるとアルファードが実の親?なので、そういうことにしておいてください。

■アルファード→ルーミー/トールのカスタム系とジャスティのイバリ顔三兄弟

子/トヨタルーミーカスタム、ダイハツトールカスタム、スバルジャスティ

4兄弟のうち、トヨタタンクを除く、トヨタルーミー、ダイハツトール、スバルジャスティのカスタム系3台がヴェルファイアの七光りグルマ

親/アルファード

日本ミニバン界の頂点にいるアルファード。やはり売れることを考えちゃうと、どうしてもアルファード顔になっちゃうのか?

 アルファードを頂点とするピラミッド構造は、ピラミッドだけに三層構造。箱型イバリ顔ミニバンの最下段に位置するのが、ルーミー4兄弟うち、タンクを除く3兄弟だ。

 特に顔付きからすると、ルーミーカスタム、トールカスタム、ならびにジャスティ(ジャスティカスタムはタンクカスタムとほとんど同じ顔)は、アルファードの直系の孫にあたる。美しき師弟愛というか親子愛というか、涙が出る。

■ヴェルファイア→ノア/ヴォクシー:ロボットアニメ系顔を継承

子/ノア/ヴォクシー

たしかにアルファード顔じゃなく、ヴェルファイア顔、ロボットアニメ系!?

親/ヴェルファイア

先代まではヴェルファイアのほうがアルファードより数段目立っていたが、現行モデルではアルファードのほうが押し出し感がある気がする

 大人気を誇る最高級ミニバン、アルファード/ヴェルファイア。先代まではヴェルファイアのほうが人気があったが、現行モデルではアルファードが超絶銀歯顔でリードしている。

 そんな現状に、ヴェルファイアファンは歯ぎしりしていることでしょうが、ヴェルファイアのロボットアニメ系フェイスの七光りは、しっかりとノア/ヴォクシー受け継いでいるので心配召されるな。

 なかでもノアのメッキギラギラグリルは、まさにヴェルファイアの七光り。加えてタンクとジャスティのカスタム系は、ヴェルファイアの孫にあたる。こちらもしっかり三層のピラミッドでありがたや〜。

■クラウン→プレミオ:クラウンロイヤルの顔にそっくりな小クラウン!

子/プレミオ

2016年6月に行われた2度目のマイナーチェンジで先代クラウンロイヤル風の顔付きになった

親/先代クラウンロイヤルシリーズ

2012年12月〜2018年5月まで販売されていた14代目クラウン・ロイヤルシリーズ

「いつかはクラウン」は、まだ死んではいなかった! その古き良き伝統は、かろうじてプレミオに残されている!

 初代プレミオは、2001年、コロナの正当な後継モデルとして、超フツーかつ退屈なカッコをしたニッポンの正統派中型セダンとして誕生しましたが、2007年に登場した2代目プレミオは、あっと驚くゼロクラウンフェイス! ヘッドライト上側のうねったラインが完璧にゼロクラウンやんけ!

 グリルもほとんどゼロクラウン! フォルムもほぼゼロクラウン! 親の七光りもここまで来ると、伝統芸能として保存してほしくなる。

 プレミオのクラウン七光りぶりは徹底しており、2度のマイナーチェンジにおいても、クラウンLOVEを貫いた。

 現在はゼロクラウンから先代クラウンのロイヤル系LOVEを匂わせる顔に変わっておりますが、とにかく頑なにクラウン直系の七光りセダンであることを守っている! 伝統を守るって美しいネ!

 ただ、乗っている方を見ると、「いつかはクラウン」ではなく、クラウンからのリタイヤ組が多いのでは……と思うほど高齢化が著しいのですが、とにもかくにも小クラウンであることには違いありません。

 現行モデルの親の七光りグルマは以上で終了。すべてトヨタ車なのは、国産で高級車が人気があって、売れてるのはトヨタ車だけだからです。

 輸入車はそんなのばっかだろうと思われるかもしれませんが、あれは親の七光りじゃなくブランド統一デザイン。そうことにしといてください。

 が、かつてはトヨタ以外にも、親の七光りカーが存在した! 続いて、そちらを振り返ってみましょう。

■パジェロ→パジェロイオ/パジェロジュニア/パジェロミニのパジェロ4兄弟が揃い踏み!

親/パジェロ、子/パジェロイオ、パジェロジュニア、パジェロミニ

左上/RVブームを牽引した初代に続いてデビューした2代目パジェロは1991年1月〜1999年8月まで生産。右上/専用ボディを持つパジェロジュニアは1998年6月にデビュー。2002年のマイナーチェンジで3ドアが廃止され、5ドアのみとなる。欧州での生産はピニンファリーナが担当。惜しまれつつ2007年12月に販売終了。左下/シリーズ第3弾として1995年11月に登場したパジェロジュニア。パジェロミニがベースで1.1L直4エンジンを搭載、2000年に生産終了。右下/初代パジェロミニ(写真)は1994年12月に登場し、1998年9月まで販売。軽規格の変更に伴い1998年10月に2代目へフルモデルチェンジし2012年6月まで生産された

 RV(レクリエーショナル・ヴィークル)ブーム華やかなりし1980年代、パジェロはその頂点付近に君臨する超人気モデルで、見事三層ピラミッド構造の形成に成功したのであります!

 まず1994年12月に軽自動車のパジェロミニが発表され、続いて1995年11月、小型車のパジェロジュニアが登場。

 これはパジェロミニのオーバーフェンダーボディ版に1100ccエンジンを搭載したモデルで、ジムニーに対するジムニーシエラみたいな感じでしたが、1998年6月、パジェロジュニアの後を継いだのは、専用設計のパジェロイオだった! スバラシイ。つわものどもが夢のあと。

■ローレル→ローレルスピリット:豪華なローレル風サニー

子/初代ローレルスピリット

サニーのエクステリア変更程度だったローレルスピリットだったが、ローレルに見える豪華さでスマッシュヒット。1982年1月〜1986年7月まで販売

親/4代目ローレル

4代目ローレルは1980年年11月〜1984年9月まで販売。開発主幹は櫻井氏眞一郎氏。CMキャッチコピーは「アウトバーンの旋風(かぜ)」だった

 サニーの姉妹車の顔を、ちょびっとローレルっぽくしてみました! という、お手軽な親の七光りカーでした。ローレルを販売していた日産モーター系のために作ったクルマですが、実は初代ローレルスピリットのローレルっぽいグリルは、海外向けサニーのグリルを流用しただけ! 粗製乱造ですな。

 このローレルスピリット、デキの悪いドラ息子っぽいダメ感を漂わせながら、初代が1982年1月〜1986年7月、2代目が1986年8月〜1990年6月と、2代にわたって存続したのがスゴイ。2代目ローレルスピリットは、Cピラーに化粧パネルを、ボンネット上にはフードマスコットも装備。さらにどうでもいい七光りを振りかざしていた。涙が出る。

 なんと、2代目のCA16DE型1.6L直4を積んだ最上級グレードの1600グランデリミテッドは、ワインカラーの内装などで高級感を打ち出して、本家ローレルの最廉価版より高くなるという、逆転現象が起きた。

子/2代目ローレルスピリット

サニーベースは変わらないが2代目となったローレルスピリットはさらにローレルに近づけ豪華になった。フロントおよびリアフェンダーは専用デザインデCピラーの化粧パネルやボンネット上のフードマスコットが取り付けられた。1986年8月〜1990年6月まで販売

親/5代目ローレル

5代目ローレルは1984年10月〜1988年12月まで販売。豪華路線でアメリカ車的な雰囲気を持つ。開発主幹は伊藤修令氏。CMキャッチコピーは「ビバリーヒルズの共感ローレル」

■スカイライン→ラングレー:パルサーベースのスカイラインズ・ミニ!

 かつて名車として君臨した日産スカイライン。R32くらいまでは、ごくフツーに人気車だったし、販売台数もかなりのものでした。そんなスカイラインの七光りとして生まれたのが、パルサーをベースとしたラングレーです。

 初代ラングレー(1980年6月〜1982年月)は、パルサーをスカイライン・ジャパンそっくりの顔付きに変更。2代目(1982年6月〜1986年9月)は、パルサーに比べると上下幅の狭い、ヨーロピアンなフロントフェイスに。3代目(1986年10月〜1990年8月)のセダンは、テールランプがスカイラインのイメージそのままの丸形4灯。

 それぞれ見事なまでの親の七光りぶりだったが、どのモデルもそれなりに上品で上質だったので、3代・10年間も存続したのであります。頑張りましたね。

子/初代ラングレー

初代パルサーベースの初代ラングレーはC210型スカイライン(ジャパン)にソックリ。キャッチコピーもC10型スカイライン(ハコスカ)、C110型スカイライン(ケンメリ)に使われた「愛のスカイライン」に準じた「愛のラングレー」だった。1980年6月〜1982年5月

親/C210型スカイライン

C210型スカイラインは1977年8月〜1981年7月。CMキャッチコピーは日本の風土が生んだ名車「SKYLINE JAPAN」

子/2代目ラングレー

2代目ラングレーは1982年6月〜1986年9月まで販売。2代目パルサーベースとなったがエクステリアはその時代のR30型スカイラインとは似ても似つかないのはご愛嬌?

親/R30型スカイライン

R30型スカイラインは1981年8月〜1985年7月まで販売。写真は FJ20ET(190ps)を搭載した2000ターボRS

子/3代目ラングレー(上段)、親/R31型スカイライン(下段)

上段/3代目パルサーのキャッチコピーはそのものズバリ、「スカイラインズミニ」。1986年10月〜1990年8月まで販売。テールランプもスカイラインに似せた丸形4灯だったが、スカイラインのテールランプの発光部は中央が抜けたドーナツ型でラングレーは丸型全体が発光。下段/7THスカイラインは1985年8月〜1989年4月まで販売

C210スカイラインのCM、「ケンとメリーのスカイライン」をイメージし、「ポールとポーラの新ラングレー」。ここまでしなくてもいいという声も多かった

こちらが本家、C210型スカイラインの「ケンとメリーのスカイライン」の広告。メリーさんはいまでもスカイラインのイベントに顔を出すそうで、おばさんになっても当時の面影を残しているという

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