あえて「クルマ」にこだわるトヨタの宣言と覚悟【東京モーターショー2017開幕】

あえて「クルマ」にこだわるトヨタの宣言と覚悟【東京モーターショー2017開幕】

 

2017年10月25日、クルマ好きの祭典である東京モーターショーが、有明の東京ビッグサイトで開幕しました(10月25日はプレスデー、一般公開日は10月28日〜11月5日)。各メーカーの先陣をきって午前8時30分よりプレスブリーフィング(報道陣向けのお披露目説明会)を開いたのはトヨタ自動車。本記事では速報でお届けします。
(記事後半にトヨタ副社長のスピーチ全文があります)
文:BoosterpackdepotWeb編集部

 

 


 

■挑むのは、不可能へのチャレンジ


「Start Your Impossible」というフレーズをタグライン(商品広告における中心的なキャッチフレーズもしくはスローガン)とし、あらゆる人に移動の自由を届けることを企業メッセージとして伝えてゆく。

トヨタブースの壇上に立つトヨタ自動車取締役副社長ディディエ・ルロワ氏は高らかにそう宣言した。

「ここ東京で開催されるモーターショーで、フランス人であるわたしが壇上に立っていることに、とまどいを覚える方もいらっしゃるかもしれません。大丈夫です、間違えてはいません。ここは東京です」

と冒頭で軽いジョークを交えて緊張した報道陣に微笑みかけるルロワ氏。確かに「トヨタの顔」といえば豊田章男社長だが、豊田氏自身、いまは自動車工業会の会長代行として「日本のクルマ界全体を引っ張っていく立場」に立っており、トヨタ一社のプレス対応に執着はできないということだろう。

加えてトヨタが打ち出す「多様性」を示す意味でも、東京モーターショーにおいてフランス人のルロワ氏が英語でスピーチすることに意義があったといえる。

「人工知能」と「コネクテッド」をキーワードとし、すべての人に「クルマの楽しさ」を伝えていきたい、と語るトヨタ。そのビジョンのひとつが自動運転技術にあり、「ショーファー(自動運転)」と「ガーディアン(高度安全技術)」というふたつのキーフレーズで、2020年には高速道路上で、2020年代前半には一般道で、これ(自動運転技術)を実用化していくという。

トヨタブースには、2018年夏(おそらく6月)にフルモデルチェンジ予定の新型クラウンも展示されており、報道陣の人気を集めていた。

「トヨタはクルマを愛しています」と力強く宣言するルロワ氏。昨今の自動車界では、(人工知能や自動車運転技術の隆盛で)「自動車メーカーはクルマ以上のものを作るべきではないか」という風潮があるなかで、あえて「クルマで人を幸せにしたい」という決意を語っているように感じた。

■トヨタ自動車取締役副社長 ディディエ・ルロワ氏スピーチ全文


皆様、おはようございます。

先ほどビデオをご覧いただいたとおり、「Start Your Impossible」(「不可能と思えることにチャレンジしよう」)が今日のキーワードです。

トヨタは、「グローバル・ビジョン」のコミットメントに沿って、オリンピック・パラリンピックのパートナーシップをきっかけとしたグローバルな企業としてのチャレンジをスタートいたします。

そのテーマが「Start Your Impossible」です。

本日より、日本でもトヨタの企業としてのタグラインとなるものです。

我々にとって、これは言葉以上に大きな意味を持つものであり、「Mobility for All」(「すべての人に移動の自由を」)の実現に向けた決意を表すものです。

すべての人が参画し、「限界」を打ち破れるような社会づくりに貢献すべくトヨタは、どんなに困難なことにも挑み続けます。

人それぞれの「限界」もあれば、身体的・社会的に課された「限界」もあるでしょう。私たちはそのために、オリンピックやパラリンピックのアスリートから勇気やファイティングスピリットを学びたいと考えています。アスリートは、母国の希望や想いを背負い、日々それぞれの困難を乗り越え続けているからです。

社長の豊田は、将来のモビリティ社会を切り拓くのは、「もっといい社会をつくりたい」という情熱で他者に勝る者、と申し上げています。

1937年、豊田喜一郎は当時の日本に自動車を普及させることが、国の発展に欠かせないと考えました。

多くの人に「不可能だ!」と言われながら、彼は仲間とともに最初の一歩を踏み出しました。

自動車業界がかつてないスピードで変化する今、私たちは新たな転換期を迎えています。トヨタは、この変化は自らを変革する「チャンス」と捉えています。

ただ、我々がヒューマンサポートロボットやカーシェアサービスのような新しい領域に進もうとしているなかでも、クルマには特別な何かがあります。

どんな形であってもモビリティが実現すべき価値……それは「自由」です。私たちが自由に移動できるとき、どんなことも可能になるのですから。

それこそが、クルマが楽しく、人々が単なる機械としてではなく、愛する対象としてクルマを見る理由だと思っています。

■クルマへの愛は、時間とともに色あせるものではない


今日お披露目する「GR Hybrid Sports」そして「Tj Cruiser」は、「楽しくなければクルマじゃない」という我々の想いを体現しています。

また、「新型センチュリー」のような歴史的なクルマであっても50年間で2度目のフルモデルチェンジでお客様の心をワクワクさせるのです。

クルマへの愛は、時間とともに色あせるものではないのです。

同時に、我々の「モビリティ」への情熱はクルマに留まりません。

我々が提供する価値は、街中や家庭で、世界中の人々の移動をより助け、もっと便利にするテクノロジーへと拡がってきているのです。

カギとなる技術領域のひとつは、「人工知能」と「コネクティッドカー」です。

この「Concept-愛i」は、単なるデザインコンセプトでも、単なるクルマでもありません。人工知能やコネクティッド技術によって、私たちの「パートナー」となる存在なのです。

ドライバーの心境を読み取り、事故のリスク要因を解消するために運転に集中させてくれます。ドライバーが何を好むか、どのような情報が欲しいかを理解し、ドライバーとの間に新しい関係を築きます。

「Concept-愛i」はひとつではありません。

私の前にある「愛i-Walk」は、クルマが通行できないところにも移動の自由をもたらします。

そして、「愛i-Ride」は、車いすを利用する方々も使いやすい機構を備えることで、パーソナルモビリティへのバリアフリーアクセスを実現します。

すべての「愛iシリーズ」に「Yui」と名付けた共通のAIエージェントを搭載することで、乗り換えても瞬時にドライバーとの密な関係が継続されるのです。

人工知能により新たな価値をご提供するためには、コネクティッド技術とビッグデータが不可欠です。

私の左側にあるコンセプトをベースにした「新型クラウン」が、2018年には、日本のコネクティッドカーの新しい「基準」となるのは、それが理由なのです。

「クラウン」に続き、2020年までには日米でほぼ全ての乗用車に「データ・コミュニケーション・モジュール(DCM)」を搭載し、クラウド上にあるトヨタの「モビリティ・サービス・プラットフォーム」につなげていきます。

■クルマは人の「チームメート」になっていく、という発想


次に焦点となる領域は、自動運転です。

「Mobility for All」実現におけるキーテクノロジーでもあります。

トヨタでは、「ショーファー(自動運転)」と「ガーディアン(高度安全運転支援)」の両方を開発しています。

「ショーファー(自動運転)モード」においては、いつか私たちのクルマもすべての運転タスクをこなせるほどに賢くなり、現在は享受できていない人々にも「移動の自由」をもたらすでしょう。

「ガーディアン(高度安全運転支援)モード」では、人間と機械のスキルを融合することで、運転の自由な感覚を維持しつつ、システムがドライバーの安全を見守ります。

「ショーファー」も「ガーディアン」も、ドライバーとクルマがお互いに助け合う「チームメート」のような役割を果たすという、トヨタ独自の考え方を反映した安全システムなのです。

これを「モビリティ・チームメート」と呼んでいます。

2020年に高速道路で、2020年代前半には一般道を対象としたシステムとして実用化する予定です。

■電動車(HV、PHV、EV)マーケットで43%のシェアを持つトヨタ


最後は「電動化」についてです。

トヨタは、初の量産「電動車」をちょうど20年前に、この東京のトヨタブースに出展しました。

電動車両の「先駆け」となった「プリウス」です。

私たちのメッセージは明確でした。「電動化はモビリティの未来を変えていく」ということです。

電動化の目的は、環境負荷を低減することにあります。

したがって、真の環境への貢献は、クルマが普及してこそ意味があります。

現在、トヨタは既に37の電動車を90か国以上で投入し、年間150万台近く販売しています。

グローバルな「電動車マーケット」では、トヨタのシェアは43%にも及びます。

20年にわたる1100万台以上の電動車の販売実績は、同時に、モーター・インバーター・電子制御ソフトウェア・電池など、それだけの数の電動化コンポーネントを開発し、改良してきたことを意味します。

次のステップであるEVの開発においても、これらの実績が我々の競争力の源泉となるのです。

EVが近い将来において重要なソリューションのひとつとなることは疑う余地がありません。

だからこそトヨタは、マツダ、デンソーとともに、EV量産化を視野に入れてEVのアーキテクチャーを開発する新会社を立ち上げたのです。

また、トヨタは次世代電池の研究にも長年取り組んできました。

そのなかで、「全固体電池」は、航続距離を飛躍的に改善するポテンシャルから「ゲームチェンジャー」となりうる技術だと考えています。

トヨタは全固体電池に関する特許出願件数において世界トップです。

現在、200名を超える技術者とともに、2020年代前半の実用化を目指して、開発を加速しています。

これは、燃料電池車(FCV)への我々の取り組みが後退するという意味ではありません。

今日ここ日本では、水素社会実現への「トヨタの変わらぬ意志」を象徴するFCV2台をご紹介いたします。

「Fine-Comfort Ride」は、広々としたインテリアに加えて、約1000キロもの航続距離を備えるプレミアムFCVの可能性を示しています。

FCバスコンセプト「SORA」は、東京で既に運行する2台のFCバスがさらに進化したものです。

来年を皮切りに、100台を超える「SORA」が順次、東京の都心エリアで運行されることになります。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、これらのチャレンジにおける重要なマイルストーンです。(そこを)我々が考える「Mobility for All」の将来をご紹介する機会にしたいと思っています。

東京大会に向けて、新型「JPN Taxi」が変える東京の街並みもご覧いただけると思います。

「JPN Taxi」は、ユニバーサルデザインにより、日本での「おもてなし」をさらに感じていただけるクルマです。

大会では、Concept-愛iシリーズの一部や自動運転車を皆さんにお見せすることになるでしょう。

また、「水素社会」のさらなる進展もご覧いただけるでしょう。

■次回のモーターショーで、そしてオリンピックで


最後に、あらためてトヨタの誓いを申し上げさせてください。

トヨタはクルマを愛しています。

テクノロジーが「限界」を越えていくことを可能にするなかで、より多くのお客様に「もっといいモビリティ」をお届けします。

そして、「楽しい!」と感じていただけるモビリティを追求していくことをお約束します。

トヨタの「Impossible」は始まったばかりです。

2019年に(次回の東京モーターショーで)、そして2020年に東京(オリンピック・パラリンピック)でまた会いましょう。

ご清聴ありがとうございました。

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