発売後1年で変わった? 絶賛された新車の“本当の評価”

 毎年各メーカーから世に送り出される新車。2017年も延べ10車種以上の国産車が日本で発売されている。

 多くの場合、新車の発売直後にそのレポートがメディアで取り上げられるが、やはり当初は絶賛される傾向が強い。

 “良いところだけではない”評価が徐々に定まってくるのは、その後に競合車がデビューしたり、公道を含めたさまざまなテスト・比較を行われ、ある程度時間が経った後だ。

 そこで、本稿では2017年に発売された新車5台の“発売1年後”の評価を改めて検証。1年経って評価は変わったのか!?

文:岡本幸一郎/写真:編集部


マツダ CX-5/2017年2月発売

2017年2月の発売から約1年後の今年3月に大幅改良を施したCX-5。2.2Lディーゼルの最高出力と最大トルクは、それぞれ190ps/45.9kgmと出力で15ps、トルクで3.1kgm向上している

 発売から1年後の2018年2月に、いまやマツダのお家芸となった「改良」を実施。その少し前に発売されて評判のすこぶる高いCX-8に盛り込まれた内容に準じる大がかりな変更をCX-5についても行なった。

 ディーゼルエンジンはスペックの向上が誰でも体感できるほどパワフルになっただけでなく、特性がジェントルになり音や振動も減ってドライブフィールが上品になり乗りやすくなった。

 現行型になってたった1年でガラリと変わったというのは、それを買ってしまった人にとっては複雑な心境かもしれないが、とにかくまあよくなっている。

 一方で、CX-5単体ではあまり気にならなかった点が、CX-8が出たことで浮き彫りになった点がいくつかある。

 ひとつがリアの剛性感だ。CX-5も低いわけではないが、ロングホイールベースで不利なはずのCX-8のほうがずっとしっかりしている。おそらく3列シートを前提に綿密に作り込まれたことで、結果的にCX-8のほうが良くなったように思える。

 もうひとつがGベクタリングコントロール(GVC)だ。CX-5には現行型登場時より導入された。このGVCについて、筆者は他車種に採用された当初から、ステアリングの切り始めが鋭敏すぎるきらいがあることを指摘していのだが、CX-5もまさしくそうだった。

 ところが、後席に人が乗ることをより重視してか後発のCX-8ではずいぶん改善されていた。だから、その後に改良を実施した最新のCX-5では同じように改善されるのではと予想していたのだが、そうならなかった。

トヨタ プリウスPHV/2017年2月発売

EV走行距離は68.2km(国交省審査値)と従来比で倍増したプリウスPHV。直近の2018年8月の販売台数はプリウスの5730台に対し、プリウスPHVが660台だ

 PHVのほうがスタイリッシュで高級感があるとか、インテリアが先進的で縦長の大画面ナビが付くなど、この車の本質であるPHVについてよりも、むしろ他の部分のほうの話題性が先行してしまったプリウスPHV。

 トヨタとしてはよほどPHVを売りたいようで、こうしてパワートレインだけでなくデザインや装備や高級感までPHVでないプリウスと差別化したにもかかわらず、販売比率は15%程度にとどまるとか。

 母数が大きく、それなりの数にはなるが、いずれにしても非PHVのプリウスがよくできているので、あえてPHVを選ばなくても、と多くの人が思うのも無理もない気もする。

 現行型PHVではEV走行距離も伸びて、その点についてはあまり不満なし。PHVか否かより、むしろ見た目で選んだ人も少なくないような感もあって、評判のよくない非PHVのプリウスがマイナーチェンジでPHVのようなデザインになったら、さらに売れなくなる可能性もある。

 むろんPHVならではのメリットはあるが、トランクが狭かったり後席が2人掛けだったり、走りが重々しいといったデメリットも少なくない。

 出来のよい身内を持つと、それはそれで苦労するわけだ。

スバル XV/2017年5月発売

インプレッサをベースにクロスオーバーSUVに仕立てられた新型XV。直近ではベース車のインプレッサスポーツ/G4を上回る1872台を販売(2018年8月)

 スバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用した現行型インプレッサの出来があまりに良かったもので、それをベースに仕立てたXVもきっと良いに違いないとみんな思っていたはずだし、筆者もそう思っていた。

 ところが、いざ乗ってみると、概ねよい印象は変わらないものの、乗れば乗るほどにどことなく違和感を覚えるようになった。

 まっすぐな道をごくふつうに走っているぶんには問題なく、直進性は高いのだが、どうもコーナーでのロールの仕方がしっくりこない。

 ベースであるインプレッサ、とりわけセダンのG4で味わった、あの素晴らしい感覚とは何か違う。どことなく足まわりが突っ張っている感じがするし、ロール軸(=前後のロールセンターをつないだ線)が適正でない感じもする。

 聞いたところでは、日本仕様のXVは機械式タワーパーキングに対応するため、欧州仕様よりもローダウンされ、最低地上高が20mm小さい200mmになっているらしい。そのせいだ!

 ちなみに、雪道ではより顕著にその症状が出て、前輪に荷重をかけにくく、操舵に対する応答性が悪くグリップ感が乏しくなるという話を耳にしている。

 おそらく最低地上高220mmの欧州仕様なら全然違うはず。そっちを日本でも何らかの形で選べるようにするといいのに…。

トヨタ カムリ/2017年7月発売

「地味な北米向けセダン」というイメージから脱皮し、大幅に評価を高めたと定評の新型カムリ

 初のフルTNGAとしてのドライバビリティの進化と、「ビューティフルモンスター」を謳うスタイリングが絶賛されたのも記憶に新しい。

 北米ではすでにベストセラーカーとして知られるが、日本向けの車ではないとか、日本でセダンは売れないなどいろいろ言われながらも、そこそこ堅調に売れているのは立派だ。

 走りの実力もなかなかのものだ。TNGAによる基本骨格の進化が効いてか、ハンドリングの仕上がりは上々で、リニアさに欠けることが指摘されがちだった従来のTHSとは別物だ。

 欧州市場にも復活するらしいが、それは走りの本場の欧州でも通用するというトヨタの自信の表れに違いない。

 では、登場から1年あまりが経過してどうか? 気になる点として挙げられるひとつに、エンジンがかかったときに意外と騒々しいということがある。さらには小回りが利かないこと。最小回転半径が5.7m以上というのは、たしかに大きい。

 あとは、乗り込んでしまうと車内は広いが、乗り降りする際に窮屈さを感じること。車高が低まり、ドア開口面積も心なしか小さくなったような気もするのでやむなしか。

 装備面では、この価格帯なのだから、オートワイパーとシートメモリーぐらい付いていて欲しいということ。ちなみに北米仕様にはちゃんと設定がある。なぜ日本仕様にはないのだろうか。

ホンダ シビック/2017年10月

ちょうど間もなく発売後1年を迎えるシビック。2018年8月の販売台数ではセダンが266台、ハッチバックが849台、タイプRが165台と、ハッチバックが最も支持を集める

 いまさら日本で売れるのか? というが下馬評が大方だったところ、これまで3タイプ合計で月に1500~1600台前後をコンスタントに販売しており、まずまずではないかと思う。

 実際、車の完成度は非常に高く、業界内での評価も上々だ。なにせ2年前には北米COTYを受賞したほどで、その実力はすでに折り紙付き。

 実際にドライブしても、その仕上がりはなかなかのものだ。しっかりとした車体の剛性感と、グリップ感が高く一体感のあるハンドリングには舌を巻く。タイプRでなくても、そのよさは十分に味わえる。

 動力性能もなかなかの実力の持ち主で、1.5L VTECターボは、ハイオク仕様のハッチバックではなおさらだが、中回転域から力強くトルクが盛り上がり、トップエンドにかけて伸びやかに吹け上がる爽快な加速フィールを実現している。ハッチバックではMTを選ぶこともでき、販売比率も高いそう(編注:MT比率は約3割)。

 ただし、そのMTについて少し気になる点がある。

 まず、2速と3速のギア比が離れていて、3速のままでどこでも走れる感じなのはよいが、2速だとエンジン回転が上がりすぎる感もあり、せっかくの素晴らしいシフトフィールを味わう機会が結果的に減りがちになる。

 また、ややオーバーシュート気味に過給しているせいか、アクセルワークに対する反応がリニアでなく、繊細な運転ができない。さらには、アクセルオフしたときの回転落ちが遅いのも気になる。これらもMTを楽しむ上で非常に重要な要素だ。

 登場直後はMTが選べること自体にワクワクして見落としていた人も多いかと思われるが、実のところそんな状況だ。

 エンジン制御については、燃費や排ガスの面でやむをえない事情があったようだが、ホンダの開発関係者も認識しているらしく、対応を検討中とのこと。せっかくMTを選ぶ愛好家のために、ぜひ早期の改善に期待したい。

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