地味だけど使い勝手がよくて走りが楽しい「秀才車」 4選

 スポーツモデルといえば、ハイパワーエンジンを搭載し足をがっちり固めた粋のいい奴と相場は決まっている。しかし、飽きないだろうか? 

 それよりも、一見普通でコンサバ、エンジンもタイヤも大したことはない平均レベル。サスペンションも柔らかい。それでも、走ってみるとバランスが良くて、ハンドルを握ることが楽しくて仕方ないモデルがある。

 本記事では、そんな少し地味ながら走りが楽しめる車を紹介。その“懐の深さ”は本格スポーツに勝るとも劣らない!

文:松田秀士
写真:編集部


驚くほど足が動くカローラスポーツ

カローラスポーツ/全長×全幅×全高:4375×1790×1460mm、エンジン:1.2L直4ターボ、116ps/18.9kgm、価格:222万4800円(G)

 スポーツモデルは法定速度内では持っているポテンシャルの50%も使えない。サーキットしかないわけですよ、性能を使い切るには。

 一方で、スポーツモデルというほど気張ってはいないけれど、バランスが良くてハンドリングが楽しいモデルがある。その筆頭がカローラスポーツ。車名にこそ「スポーツ」を謳うが、このクルマ、サスペンション柔らかいです。ロールも結構します。

 恐らくWRX STIや昔のシビックタイプRを絶賛する人からすれば、思いっきり拍子抜けすると思う。とにかく「足こんなに動いて良いの?」というくらいにストロークもありロールもする。

 エンジンは1.2Lターボで116ps/185Nmと大したパワーではない。トランスミッションは6MTかCVT。しかし、185Nmの最大トルクを1500~4000rpmという低中速域で発生するので、コーナリング中にアクセル操作を加減して車の姿勢をコントロールする楽しみがある。

 しかも、リヤサスペンションは左右が独立したダブルウィッシュボーン式。ロール(車の傾き)が深くなってもロールセンターの移動とキャンバー&トレッド変化がコントロールされているので、しっかりと路面を捉えて安定しています。

 ダンパー内のオイルも、強いストレスを受けたときに粘性を上げて減衰力を瞬間的に上げる特性のものが採用されている。しかも、ボディ剛性が高いから、タイヤが路面にへばりついている感覚、そして路面の状況がしっかりとドライバーに伝わってくる。

 これには新設計のスポーツシートの出来の良さも貢献している。最初はレカロか? と間違えたほど。長距離にも耐えるマルチなシートだ。とにかく、カローラスポーツはプチ走り屋さんが腕を磨くにはもってこい。

アクセラは激シブ仕様の走りが楽しい!!

アクセラスポーツ/全長×全幅×全高:4470×1795×1470mm、エンジン:1.5L直4、111ps/14.7kgm、価格:214万9200円(15Sプロアクティブ)

 次にお勧めなのがアクセラスポーツ。なかでも、アクセラスポーツのなかでも1.5LモデルのMTがイチオシ。

 搭載される直列4気筒1.5Lエンジンは、あのロードスターに搭載されているものと同じ。こっちはロードスターよりも車重があるために中速寄りのチューンがなされている。その出力は111ps/144Nmと、やはり大したことはない。

 しかもカローラスポーツスポーツは1.2Lではあるがターボで武装していたからそれなりにトルクもあったが、こちらはノンターボ・自然吸気。パワー的にもトルクの盛り上がりも、それほど期待はできない。

 ただ、このエンジン、高回転域まで回すとスッキリ気持ちが良い。パワーがないから使い切れるともいえるし、やはりロードスターの血を引いた高圧縮のSKYACTIV-Gだ。さらに、6速MTはATやCVTよりも軽量。

 ロードスターでは縦置きだったエンジンも、アクセラスポーツではFFゆえに横置き。つまり、フロントセクションが重くなってしまうレイアウトながら、6速MTによって比較的フォローされている。

 サスペンションは初期がすっきりと動くけれども、ロール角そのものは大きくない。アクセラスポーツもリヤサスペンションは左右が独立したダブルウィッシュボーン式の進化系であるマルチリンク式。よ~くスペックを見ると、さすがな仕様なのだ。

 また、6速MTなのにレーダークルーズコントロールとレーンキープアシスト(LAS)が標準装備されている。MTなのにLASまで装備されているのは、日本でもこの1台だけではないだろうか。

 このシステムがあれば、高速道路で遠出する間はこの2つの運転支援装置で疲れずに移動。目的地の峠道をしっかり楽しむ、なんてこともできる。マツダはMTだからといって安全快適面で手を抜かないところがうれしいね。

走りのバランス秀逸なスバル&ホンダのミドルハッチ

■スバル インプレッサスポーツ/G4

インプレッサスポーツ/全長×全幅×全高:4460×1775×1480mm、エンジン:1.6L直4、115ps/15.1kgm、価格:216万円(1.6i-Lアイサイト、4WD)

 インプレッサスポーツ/G4は、サスペンションが比較的ハード目だが、今日のスバル車のなかではソフトな方だ。

 このモデルの魅力はエンジンが縦置きの4WDで、前後輪共に左右のドライブシャフトが等長であること。これによってスバルでは「シンメトリカルAWD」と呼ばれる、究極の前後左右荷重配分を達成している。つまり、素性のレベルがとても高い。

 こちらもリヤサスペンションはダブルウィッシュボーン式。スバルはボディ作りが素晴らしく、ステアリングを操作した時の応答性が速い。この俊敏なハンドリングを、家族を乗せた時にはそのクイックさを感じさせないようなドライビングに切り替える。自分を鍛えてくれるモデルといってよいだろう。

■ホンダ シビックセダン

シビックセダン/全長×全幅×全高:4650×1800×1415mm、エンジン:1.5L直4ターボ、173ps/22.4kgm、価格:265万320円(ホンダセンシング)

 最後はホンダ シビックだ。シビックには5ドアのハッチバックとタイプRがあるが、ここではセダンに拘りたい。

 1.5LのVTEC直噴ターボエンジンは173ps/220Nmだからそれなりにパワーはある。サスペンションはこちらもフロント:ストラット式/リア:マルチリンク式。シビックもサスペンションがよく動く。

 しかも、バンプストッピングラバーを使っていないのは? と思うくらいに、どこまでもスムーズにサスペンションがストロークする。フロントのストラット式サスペンションがより良く動くのだ。

 また、走行中のロードノイズを含めた耳障りな音が小さく、安全面や支援面でもホンダセンシングを採用するなど、今度のシビックは完成度が高い。

 1年前に米国でドライブした時に、路面が悪い高速道路にもかかわらず、とても乗り心地が良く室内静粛性も高かった。快適性と走りのバランスの良さが魅力の1台なのだ。

◆  ◆  ◆

 売れ筋のひと回り小さいコンパクトハッチと比べて、ここで紹介したモデルは販売面で目立った存在ではなく、性能面でも本格派スポーツモデルと比べればちょっぴり地味な印象。

 けれど、実は走りが楽しく、実用性を含めたバランスも良好で、価格もべらぼうに高いわけではない。

 カローラやアクセラ、インプレッサの車名にあるように、こうしたモデルこそ、新しい「スポーツ」の形なのかもしれない。 

 「最近、走りの楽しいスポーティ車が減った!」とお嘆きの方は、ちょっと地味だが走りが楽しめるモデルたちを愛車の候補に加えてみるのも悪くないだろう。 

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