全国配備急増中!! 新型「移動オービス」速度取り締まり事情

 2013年に『今後の導入』が明らかにされて以降、とんと話を聞かなくなってしまった「可搬型移動オービス」(いわゆる「移動オービス」)だが、この2018年4月以降、全国各地から目撃情報が急速に寄せられるようになってきた。

 どうやらいよいよ全国展開が開始された……との噂だが、果たしてその真相はどうなっているのか。Boosterpackdepot取材班が交通取り締まり情報を集めてみました。

※メイン写真は2018年4月13日に神奈川県相模原市内で実施された可搬型オービスによる速度取り締まり。近くに小学校がある市道で、抜け道として使われるため交通量が多い制限速度30㎞/hの区間。機器は東京航空計器のLSH-300(写真提供:読売新聞社)

文:Boosterpackdepot編集部 写真:読売新聞社、shutterstock.com
Boosterpackdepot2018年6/10号「クルマ版『噂』の真相」


■生活道路での臨機応変な取り締まり

 移動オービスの大々的な導入は、2013年頃「速度取り締まりは、通学路などの生活道路を重視すべし」といった警察庁の指針が示されたことに端を発する。

 つまり、幹線道路での流れに乗った交通状況での速度違反よりも、30km/h規制などの通学路や地域の生活道路における速度超過のほうが危険性が高いため、そちらの取り締まりを強化せよ、ということである。

 これには自動車専門メディアとしても大いに賛同したい。

 実際、歩道のない、また路地の多い住宅地の生活道路にもかかわらず、無謀とも思える速度で走っていくクルマをしばしば見るが、悲惨な事故を起こす前に、ぜひとも取り締まりなどによって未然に防いで欲しいと切に願っている。

 だが、こうした道路では速度取り締まりを実施するのが難しいという側面があるのもまた事実。白バイやパトカーによる追尾は、狭く歩行者も多い道路では危険性が高く現実的ではない。

 また、定置式……レーダーや光電管を使ったいわゆる「ネズミ捕り」は違反車両を停止させるスペース、ドライバーに切符を切るための場所などが必要となり、実施可能な場所が限られてしまうのが現実だ。

 そこで効果的だと判断されたのが一般的に「オービス」と呼ばれる取り締まり機だ。

 レーダー波などにより走行中の車両の速度を計測し、一定の基準以上の速度超過をしている車両を自動的に撮影。ナンバーから所有者を特定し、後日呼び出して検挙、違反手続き処理をする、というもの。従来は路肩に支柱を立てたり、道路上にアーチ状の支柱を設置し、大型の機器を建植するもので、いったん設置したら半永久的にその場所に固定される性格のものだった。

設置型オービスは主に高速道路上や幹線道路に設置される。速度違反車を自動で撮影し、後日警察署へ呼び出す(写真:tkyszk / Shutterstock.com)
設置型オービスは主に高速道路上や幹線道路に設置される。速度違反車を自動で撮影し、後日警察署へ呼び出す(写真:tkyszk / Shutterstock.com)

■かつての「移動型」には弱点があった

 オービスには一定の速度抑止効果があるのだが、設置場所が周知されれば効果は激減してしまうというのは自明の理だ。

 そのため一時期、ハイエースなどの1BOX車の荷室にこのオービスを搭載し、高速道路やバイパスの路肩に出没する移動オービスが猛威を振るった。

 しかしこの取り締まり方法は、路肩にクルマを止める必要があることと、多くのシステムがレーダー式だったため、設置場所(=取り締まり場所)が限定されるという弱点があった。

 つまり、本来は神出鬼没さがメリットの移動オービスなのに、結局は定まった何カ所かをローテーションするという運用になってしまい、効果は激減。現在ではほとんど稼働の話を聞かなくなってしまった。

 今回「全国配備が進んでいる」という話題の中心となっているのは、もっと小型の「可搬型」と呼ばれるもの。

 いくつかのタイプがあるようなのだが、特に小型のタイプでは三脚に本体を固定することで簡単に設置が可能で、サイズ的にも大人2人いれば持ち運びから設置までできそうだ。

 このタイプのなにがメリットかというと、違反車を自動的に写真撮影して後に呼び出して検挙するため、現場で違反車両を止める必要がない、ということ。つまり1車線の細い道でも交通の流れを妨害することなく取り締まりが実施できる、ということだ。

 この可搬型オービス、2014年度中に埼玉県内や岐阜県内での目撃情報が多く寄せられたのだが、これはどうやら全国展開に向けた試験導入だった模様。簡易的なポールを路肩に建植して設置する「半固定式」から始まり、三脚設置型の可搬型、ロボットのような形態をした据え置き型などの情報を両県内で散見した。

■いよいよ全国展開し、すでに運用開始

 現在配備が確認されているのは神奈川県警、岩手県警、富山県警、秋田県警、大分県警など。この4月に入って運用開始された岩手県警は1台のみの導入で、県内各警察署からの要請に応じて随時取り締まりに稼働させていくという。

 また、神奈川県警では非公表ながら、目撃情報などからどうやら4台配備されており、こちらも各地域からの要請に応じて取り締まり機を運用していく方針だ。

 すでに昨年から配備されていた富山県警では県警公式ホームページにて、

「生活道路を対象として指定した「ゾーン30」において、可搬型オービスを使用した速度取り締まりを実施します」(原文のまま)

 と、情報を公開している。大分県警も同様で、公式ホームページで可搬型オービスの導入、運用開始を公開している。

富山県警では「可搬型オービスを使用した速度取り締まりを実施します」として、取り締まり場所と日時を公開している。現在6月上旬の取り締まり予定を公開中

 このほかにも北海道、埼玉、栃木、静岡、長野、岐阜、愛知、兵庫、島根、香川、宮崎の各道県警に配備または配備予定となっており、今後は全国に展開していくことが予測される。

 ちなみに本記事のメイン写真は2018年4月13日に神奈川県相模原市で実施された取り締まりの様子。

 写真にも写っているように、近隣には小学校があり通学路として使われる市道で、ここの制限速度は30km/h。県道の抜け道として使われており、交通量が多く、交通の流れも比較的速いという。

 神奈川県警交通指導課では、

「新型オービスで特に重点的に取り締まりを実施する場所は、地域住民の方が通学、通勤、買い物などで日常的に利用する道路です」

 としている。また、新型オービスを使用した速度取り締まりによって期待される効果としては、

「速度を抑制することで事故防止、あるいは万が一事故が発生した場合の被害軽減を期待します」

 とのこと。現時点での導入台数や今後の増備計画については非公表とのことである。

■制限速度30km/h以下の生活道路で活躍することに

 この「可搬型オービス」は東京航空計器製の「LSH-300」という型式の計測器で、見た目には路肩に固定される縦型オービスの小型版のような形態。

 速度計測はレーザー式(レーダー波ではない)となる。

 写真からわかるように(上記メイン写真参照)、三脚上に設置し、監視役の警察官1名での運用も可能となっている。

 通学路のような生活道路での取り締まりに大きな効果を発揮すると期待される。

 岩手県警に導入された可搬型も同型のもの。試験運用の実績から、このタイプが「制式」採用となったのか。

 具体的な取り締まりについては、現段階では詳細情報は不明ながら、従来の固定設置型オービスとは異なり、基本的には監視役の警察官がオービス近くにいて、違反車両を現認しているということもあり、30km/h制限の生活道路での運用においては、超過速度30km/h未満の「青切符相当の違反」でも積極的に検挙するということが考えられる。

 繰り返しになるが、生活道路での速度超過は特に重大事故に直結しやすい。取り締まりが強化される云々の理由ではなく、安全運転のためにも速度超過のみならず、重々注意を払った運転を心がけていただきたい。

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