無理を承知でお願いしたい!! あのコンセプトよもう一度 6選

無理を承知でお願いしたい!! あのコンセプトよもう一度 6選

 最新の国産自動車は、高性能を強く感じるいっぽう、キャラクターの方向性やサイズ感など、その商品性がグローバル(つまり「日本以外」)を意識したものばかりとなっている。

 また、国内でもニーズが限られてしまったクルマは、モデルチェンジで再起を図るのではなく、延命措置や消滅してしまうケースも増えてきた。

 かつて日本車は、グローバルを意識しながらもカテゴリーごとに日本車としての独自性や特徴、「武器」を持っていた。そのスタンスがあったからこそ生まれてきたクルマたちもたくさんあった。

 今は失われてしまった、そんなコンセプトのクルマたちを振り返りつつ、無理を承知で(売れなかったんだから消えたのだし)、今一度、こういうコンセプトのクルマを出して勝負してくれないか……とお願いしてみたい。
文:大音安弘


■トヨタサイノスみたいな小さくて安いクーペ

トヨタ サイノス 1991〜1999年
トヨタ サイノス 1991〜1999年

 コンパクトSUVの台頭により、働く女性に愛されてきた「セクレタリーカー」のカテゴリーから一気に駆逐されてしまったのが「小さなクーペ」というカテゴリーのクルマたち。

 まさにサイノスはそのカテゴリーを狙った一台だった。

「友達以上恋人未満」という初代のキャッチコピーだったことからも、頑張る女性の心強いパートナーというイメージが連想させる。

 当時は、クーペにスポーティさが重視されていただけに、多くの人にそのコンセプトが理解されていなかったが、しかし一部の女性にとっては嬉しい存在だったに違いない。たぶん。

 2代目はコンバーチブルも設定されていたことも懐かしい。こんなに気軽に乗れるオープンカーは、もはや国産車では失われてしまった。

 ダウンサイズが進む今、洒落っ気のあるシニア層にも受ける気がするのだが……どうだろう、トヨタさん。

 振り返ると日産NXクーペやスズキカルタスコンバーチブル、スバルインプレッサリトナなど、このカテゴリーには個性派が多かったようにも思える。コンパクトクロスオーバーだけでなく、この分野も再び手掛けてみてほしい。

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■スズキツインみたいなミニマムハイブリッド

スズキ ツイン 2003〜2005年
スズキ ツイン 2003〜2005年

 早すぎた存在といえるのが、スズキのツインだ。このクルマが発売された2003年当時、欧州ではスマートが誕生し、シティコミューターというミニマムなクルマへの関心が高まり出していた。

 いっぽう日本では、欧州のAセグ以下の軽自動車という優等生が存在したため、2人乗り+荷室というツインの意味が理解されなかった。

 驚異的な取り回しの良さを実現するために、全長は2735mmとし、最小回転半径は国内最初の3.6mを実現。どこでもスイスイなクルマだった。

 最も驚きを与えたのは、軽自動車初のハイブリッドシステムを用意していたこと。仕組みは異なるが、この経験がエネチャージなどスズキ独自のハイブリッドシステムに繋がっていったのだろう。

 もっと驚いたのが、ガソリン車の価格。なんと5速MTながら49万円という低価格。この点もスズキらしい。

 軽を超えるミニマム車。今こそ需要があると思うのだが、スズキさんどうですか。

 日本でベンチャーなどが挑むミニマムEVなどは、自動車という見方をすると心もとない。今こそ、ツインのような自動車らしいシティコミュニケーターの復活に期待したいところだ。

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■スバルアルシオーネSVXみたいな水平対向6気筒GT

スバル アルシオーネSVX 1991〜1996年
スバル アルシオーネSVX 1991〜1996年

 海外ではまだまだニーズの高いパーソナルクーペだが、国内市場からは駆逐されてしまった。豪華なだけでなくハイテク満載という点は、ジャパンGTの看板のひとつで、かつては各社共に独自性の強いGTを揃えていた。

 その中でもユニークだったのが、アルシオーネSVXだろう。

 3.3Lの水平対向6気筒エンジン、AWDシステム、パーソナルクーペなどなど、あのクルマを彷彿させる。そう、ポルシェ911だ。当時「バックすれば911」なんてジョークも飛ばされたものだが、その裏には、雲の上の911に最も近い存在としてのリスペクトもあったと思う。

 水平対向エンジン+AWDは、インプレッサやレガシィなどでもスポーツ性を強調できたが、GTとして世界に胸を張れるのは、やはりアルシオーネSVXだ。なにしろこれだけ個性的なユニットが、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたボディに収まっていたのだ。それは初代NSXの心臓を持つレジェンドクーペも似た存在といえるだろう。それが「バージョンE」なら333万3000円で買えた。

 いうまでもなく、昨今の日本車のレベルは、高い。だからこそ、日本ブランドのGTに乗ってみたいのだが。それを唯一叶えてくれるのはレクサスだけ。ただもっと日本車らしいテイストのGTが欲しい。

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■ホンダラグレイトみたいなおしゃれなL型ミニバン

ホンダ ラグレイト 1999〜2004年
ホンダ ラグレイト 1999〜2004年

 ド派手なフロントマスクのアルファード&ヴェルファイアが席捲する大型ミニバン市場だが、かつて日本にもスタイリッシュなLサイズミニバンが存在した。それがホンダのラグレイトだ。

 北米仕様のオデッセイを日本に導入したものだが、全長5105mm×全幅1935mm×全高1740mmとアメリカンなラージサイズ。なんと現行型アル/ヴェルよりもデカい。ただ全高が抑えられ、セダンに近い操安性を誇った。

 同じ逆輸入ミニバンとして日産クエストがあったが、あちらは左ハンドルに対して、ラグレイトは、きちんと右ハンドルとなっていたのも魅力であった。

 またスタイルもオデッセイの上級仕様プレステージとも異なるシックで上品なものである点もウリであった。

 ただ3ナンバー化の進みだした日本でも、本格Lサイズミニバンのニーズは低く、国内生産の大型ミニバン「エリシオン」と置き換えられてしまう。日本向けにカスタムされた大陸系ミニバンが失われてしまったことは残念。

 昨今のミニバンは、ワンボックスとのクロスオーバーといえ、オデッセイのような正統派ミニバンは希少となってしまった。もちろん、現行型オデッセイが進化し、そのニーズもカバーしている。

 ただラグレイトのように気軽に乗れるアメリカンサイズのミニバンは、アル/ヴェル一択の現状に新たな息吹をもたらすのではないだろうか。

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■三菱パジェロジュニアみたいなちょうどいいクロカン

三菱 パジェロジュニア 1995〜1998年
三菱 パジェロジュニア 1995〜1998年

 SUVブームに沸く昨今、コンパクトなSUVも様々な選択肢が誕生した。しかしながら本格的な走行性能を備えた「クロカン」と呼べるものはほとんどなく、ジムニーシエラが最後の砦となっている。

 RVブームからSUVへ移行した90年代半ば以降は、クロカンを得意とする三菱もパジェロ兄弟を拡大させ、本格クロカンの走りをより小さな車で味わえるようにしていた。可愛いキャラの末っ子、パジェロミニをベースにしたコンパクトクロカン「パジェロジュニア」もその頃生まれた。

 基本はパジェロミニと共有するが、トレッド幅の拡大、タイヤのサイズアップなど再チューニングを行い、パジェロミニよりも理想的な走りを実現していた。

 確かに日常使いを考えると昨今のクロスオーバーがベターだろう。ただジムニーシエラやパジェロジュニアのように、小さくて岩などももろともせず、小傷は勲章と思えるほど、オフロードをガンガン行けるクルマとなると限られる。

 SUVブームといえど、クロカンと呼べるものが少ないのが現実なのだ。今は、ジムニー兄弟のみが頼みの綱。三菱さん、それでよいのでしょうか???

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■日産キューブキュービックみたいな可愛い3列シート車

日産 キューブキュービック 2003〜2008年
日産 キューブキュービック 2003〜2008年

 ハイト系コンパクトカーとして一世を風靡したキューブ。登場以来、愛らしい個性的なスタイルからマーチのお株を奪うなど、ミレニアル世代の筆者には、なじみ深い一台だ。

 そんなキューブの2代目には、大胆にも3列シートを押し込んだ「キューブ3(キューブキュービック)」というミニマムな7シーターが存在した。

 もちろん、キューブのままではなく、ホイールベースを170mmストレッチ。リヤドアを拡大することで乗降性も向上。それでもシエンタよりもずっと全長が短く、3900mmしかないため、コンパクトカーらしい運転のしやすさを備えていた。ただ小さなミニバンを目指したわけではないので、3列シートはエマージェンシー要素が強かったのも確かだ。

 しかしながら、ミニバンぽさを出さずに7人乗りを実現させたアイディアは脱帽もの。1世代で終わりとなったのは寂しいかぎりである。

 コンパクトカーはニーズの高いカテゴリーながら、少々キャラクターが被り気味な面もある。このサイズでも、日本車らしいアイディアを再び炸裂させて欲しい。

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■もっと「日本らしいクルマ」を出してほしい

 このように振り返れば、つい少し前の世代の国産車までは日本らしい独自の個性を強くはなっていた。

 確かに今の日本車は素晴らしく、世界レベルで見ても優秀だ。

 しかしながら、日本らしいアイディアや個性という面は、どんどん希薄になっているのではと感じる部分もある。

 また各社の得意分野に資源を集中させ、SUVやスポーツカーなど特徴的なクルマの技術を違うカテゴリーに活かすことで生まれるユニークなクルマも減ってしまった。

 あの頃、ビックリさせられたような日本らしい機能、メカニズム、ユニークなコンセプトという「ザ・日本車」を見せて欲しい。それが結果として日本のユーザーだけでなく、世界を驚かせることにつながるのではないか。

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